第7回:高校入試に向けて「入試英語力」を高めよう

本多 敏幸(ほんだ としゆき)
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入試のためには、問題の傾向を把握した上で適切な勉強をする必要があります。受験を控えている人のために、今回は高校入試に向けての学習法を紹介します。

第7回:高校入試に向けて「入試英語力」を高めよう

 

 

入試に向けてまず行うべきこと

 

入試に合格できる力を「入試英語力」と私は呼んでいます。これは学校の授業だけで完璧になるものではありません。学校で習ったことを基にして、みなさん自身が努力して身に付けるものです。

 

学校の先生から「高校入試に向けて、家庭学習を最低でも1日4時間しなさい」などと時間を示されることがあると思います。練習量が多ければ多いほど、得点できる可能性は高まります。しかし、やみくもに勉強すればよいということではありません。

 

「入試英語力」を身に付けるためには、入試の出題傾向に合った勉強をすることが大切です。目標となる入試問題を知り、何をどう勉強したらよいのか考えてみましょう。

 

ここで、入試問題の見方の例を示します。

 

① 試験問題は何分か?
② 設問数は?(大問はいくつで構成されているか)
③ 単語の総語数は?
④ リスニング問題、自由英作文、文法問題、語彙問題、読解問題の比率は?
⑤ 語句の難易度は?(教科書で習った語句以外も含まれているか、長文を簡単に読めるか、注がついている語の数や難易度などで判断)

 

例として、平成30年度の東京都と大阪府の公立高校の一般入試問題を分析してみましょう。なお、大阪府の公立高校一般入試の英語の問題は、A(基礎的問題)、B(標準的問題)、C(発展的問題)の難易度があり、ここではB問題を取り上げます。

 

公立高等学校の入試問題は正式には「学力検査問題」と呼ばれ、各都道府県教育委員会のホームページで見ることができます。

 

東京都|学力検査問題等

大阪府|学力検査問題及び採点資料等(平成30年度)

 

  東京都 大阪府(B問題)
(1)
試験時間
50分間
(約10分間のリスニングを含む)
筆記:40分間
リスニング:15分間
(2)
設問数
大問4
小問23問
(リスニング問題を含む)
大問3
小問20問
(リスニング問題を除く)
リスニング問題は小問が8問
(3)
語数
選択肢の英語も含めて約2,500語(リスニング問題を除く) 選択肢の英語も含めて約1,500語(リスニング問題を除く)
(4)
問題の
比率
●リスニング問題20点分
●英作文12点分(課題が与えられての英作文3文)
●読解問題が中心で68点分
90点満点のうち
●リスニング問題22点[24.4%]
●英作文(30語程度)が8点[8.9%](課題が与えられての英作文30語程度)
●並べかえ、部分英訳の問題15点[16.7%]
●読解問題が中心で45点[50%]
([ ]内は100点満点で換算した場合の比率)
(5)
単語の
難易度
ほぼ教科書の範囲内
【注の例】gate, picnic, literature, scholar, smartphone, potential
「大阪版中学校で学ぶ英単語集」の範囲内
【注の例】ancient, gradually, form, whale, circle, compass, ruler

 

2つの公立高校の入試問題から、次のような入試の傾向が見えてきます。

 

【問題の傾向】

1.読解問題の設問数や配点の比率が高い。
2.語数が多い。中学3年生用の教科書の1ページが約80語で書かれていることを考えると、東京都では40分間で教科書約31ページ分、大阪府では40分間で教科書19ページ分を読まなければならない計算になる。
3.数文の英作文を書く問題がある。
4.文法問題はほとんど出題されない。読んだり書いたりするときに文法の知識が必要となる。
5.語彙は教科書に出てくるものが中心となる。

※ちなみに、新しい中学校学習指導要領が2020年度から施行されることから、今後の入試問題は変わることが予想されます。例えば、東京都ではスピーキングテストが導入される予定です。

 

では、問題全体の比率が高かった長文読解とリスニングに対処するため学習方法を紹介します。

 

 

 

その1 500語程度の英文を5分以内で読み切る練習をしよう!

 

東京都の場合、約2,500の単語がテスト用紙に書かれています。40分間で19問(リスニング問題を除く)の設問を解かなければならないので、20分間を解答時間に充てるとすると、英文を読む時間は20分間しかないことになります。

 

2,500語÷20分間=125

 

つまり、1分間に125語のスピードで英文を読まなければならないということになります。これは中学生にとってはかなり速いスピードです。

 

学校の授業では、長文を一気に読む活動を行う時間をなかなか取れません。そこで、自宅でタイマーを使って、少なくても1分間に100語以上で長文を読み切る練習をしましょう。

 

このときの読み方は「第5回:目的に応じた読み方で読解力を高めよう(1)」の「その1 まず概略を理解しよう!」を参照してください。教材は他の都道府県の高校入試問題(全国の入試問題が収められた問題集)がよいでしょう。

 

まずは、「一気に読むこと」の感覚をつかむために、学校の教科書を、習ったところまで一度にすべて読んでみましょう。中学3年生であれば、2年生の教科書を一気に読み切ってもよいでしょう。

 

次に、200語程度の短い文章から読み始め、徐々に語数の多い文章を読むようにしてください。1分間で100語程度のスピードで読めるようになったら、あとは問題を解く練習を徹底的に行いましょう。

 

読解問題の設問パターンは決まっているので、練習を積めば慣れることができます。

 

 

 

その2 リスニング対策はシャドーイングをしよう!

 

リスニング問題では、まずは音をしっかりとキャッチ(認知)できることが必要です。音がキャッチできなければ内容を理解できないからです。

 

音をキャッチするための最も良い練習方法はシャドーイングです。シャドーイングとは、テキストを見ないで、聞こえてきた音を、間をおかずに(0.5秒くらいで)そのまま繰り返して(おうむ返しで)声に出して言う練習方法です。

 

リスニング問題ではよく質問文が最後に読み上げられますが、質問文もシャドーイングしましょう。この練習で、音をキャッチする能力がかなり向上するはずです。音がキャッチできるようになったら、問題を解く練習をしましょう。

 

さらに大切なのは、リスニング問題を解いた後に行う練習です。文字を見ながらオーバーラッピング(音声にあわせて一緒に音読)をしたり、解いた問題のシャドーイングを行ったりするのが効果的です。オーバーラッピングの方法は「第1回:手軽な方法で『話す力』を伸ばそう」を参照してください。

 

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この記事の筆者について

本多 敏幸(ほんだ としゆき)

PROFILE

千代田区立九段中等教育学校指導教諭。東京学芸大学大学院教育学研究科英語教育専攻修士課程修了。ELEC同友会英語教育学会会長。英語授業研究学会理事。文部科学省「外国語教育における『CAN-DOリスト』の形での学習到達目標設定に関する検討会議」、「中央教育審議会中等教育分科会教育課程部会外国語ワーキンググループ」、「学習指導要領等の改善に関わる検討に必要な専門的作業等(中学校外国語)」協力者。全国各地で教員向けの講演を多数行う。
著書に、本多式中学英語マスターシリーズとして『反復基礎』『短文英単語』『速読長文』、『中学生からの勉強法』(以上文藝春秋)、『中学校新学習指導要領 英語の授業づくり』、『入試英語力を鍛える!授業アイデア&パワーアップワーク40』(以上明治図書)、『若手英語教師のためのよい授業をつくる30章』、『到達目標に向けての指導と評価』(以上教育出版)、『NHK CD BOOK 中学生になるまでに身につけたい! 小学英語 パーフェクト・レッスン』(NHK出版)などがある。

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