スタディチャンネル専属講師 阿部剣一先生 スペシャルインタビュー

無料で学べる小中学生向け授業動画サービス「スタディチャンネル」。専任講師の“ズバッと阿部”こと阿部剣一先生の授業動画が、今中高生に人気の動画サービス“TikTok”でも大人気! 時制を表す代名詞Itを“神様のIt”と名付けて授業するなど、そのユニークな指導方法の秘訣に迫ります!

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――“神様のIt”や”やさしさのdo”など、ユニークなキャッチフレーズで授業動画を配信されていますが、阿部先生のまさに“神授業”はどのような背景で企画されているのですか?

 

【阿部先生】 “神授業”なんて恐縮です(笑)。“神様のIt”は時制を表す代名詞の授業で企画したフレーズですが、一般的には「Itの特別用法」と呼ばれるものなんです。これについては研究者や指導者の間でも、用法の概念や教え方にいろんな見解があって、多くの教育現場では”なんとなく”理屈抜きでそのまま覚えさせるケースが多いんです。なぜなら用法の理論が実は複雑過ぎるから。

 

なんとなく覚えてしまえばいいというのも生徒さんによっては有効だと思いますが、こういう基礎中の基礎こそあえて理屈で覚えてもらう必要もあると私は考えています。

 

――なぜ基礎こそ理屈が必要なのでしょうか?

 

【阿部先生】 英語が上達するには数をこなすことが大事だとよく言われており、私もその考え方に賛成です。ただし、それは英語に興味を持ってくれて自発的に英語に触れる機会を増やしている生徒さんに当てはまる考え方で、多くの生徒さんは英語に対する抵抗感から“英語を浴びる”機会が少ないのが実態です。

 

この“英語を浴びる”機会の少ない生徒さんが文法の本質を理解できないまま暗記に走ると、その先英語の勉強で必ずつまずくんですね。

 

――なるほど! だから分かりやすく伝えるためにユニークな授業を企画されているのですね。では、勉強法で“暗記派”、“理屈派”と人によって向き不向きはあるのでしょうか?

 

【阿部先生】 勉強は“理解”と“暗記”を必ずセットで実践していく必要があります。先ほどお話ししましたように、一般的に暗記で覚えると言われるものも併せて理屈で学んでいただく。「覚えてしまった方が早いでしょ」という生徒さんにも”理解”と”暗記”をセットで学んでいただくことで「立体的な思考」を身に付けていただくのが教育者としての理想ですね。

 

――“やさしさのdo”という阿部先生の授業では、一般動詞三単現の疑問文の作り方を解説していらっしゃいますが、こうしたやさしい単元も理屈が必要なのですか?

 

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【阿部先生】 もちろん必要ですし、とても大事なポイントです。実はこの授業「簡単過ぎることをなぜ理屈で教えるのか?」と多くのメッセージをいただきました。例えば、“She plays tennis.”を疑問文にすると“Does she play tennis?”になりますが、“Does”を文頭に付けるところは出来ても、“plays”を“play” に直さずそのまま“Does she plays?”と書いてしまう生徒さん、私の指導経験でもたくさんいたんですね。

Be動詞と違って、一般動詞は頑固でわがままだから主語の前に出せないんです。でも、“do”がサポート役を果たしてくれて、かつ一般動詞のお尻にくっ付いた三人称単数現在の“es”も一緒に引き継いでくれるから「doはとってもやさしい!」、そんな風に勉強すると楽しくなりませんか!?(笑)

――確かに! とってもやさしいし、そう理解すると間違いにくいですね(笑)。もしかして阿部先生、英語の言語学がご専門ですか?

 

【阿部先生】 専門と語るのは恐縮ですが(笑)、私は立教大学大学院文学研究科というところで「600年前の英語」を研究しておりました。実は先ほどお話しした “やさしさのdo”も500~600年以上前の英語だと、一般動詞は頑固じゃなくて、主語の前に持ってきて疑問文にしていたんですね。

 

昔は語順という考え方が薄く、“I play”の疑問文が“Play I”と普通に使われていました。その後疑問文で“do”が自然発生的に使われるようになって、こうした言語の変遷を歴史の視点で読み解くと、ものすごく奥が深いんです!

 

――そうでしたか! (言語学のお話はまた別の機会に伺うとして・・)ところで阿部先生は進学塾の講師を経て、株式会社教育測定研究所が運営するスタディチャンネルに参画されたそうですが、言語学の研究と進学塾の指導は価値観の全く異なるフィールドのように見えます。なぜ塾講師の道を選んだのですか?

 

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【阿部先生】 受験勉強が好きでそのまま予備校の先生になる方と近い感覚かもしれませんね。僕は英語や歴史にハマって、学ぶこと教えることがライフワークになりました(笑)。進学塾は小手先のテクニックのみを教えるところだとイメージしている方もいらっしゃると思いますが、最近は少子化の影響で生徒さんの裾野が広がっており、学力やニーズも多様化しています。

英語に興味が持てず、“英語を浴びる”ことの少ない生徒さんに指導する機会も多くあり、大学院時代に研究した言語学の概念が進学塾の教室でも役に立ったと振り返ります。スタディチャンネルでも、研究者や塾講師としての経験を生かして、一人でも多くのお子さんに勉強を好きになってもらいたいですね。

――これからのスタディチャンネル、ホントに楽しみですね。今後はどのような授業ラインナップを予定していらっしゃいますか?

 

【阿部先生】 「基礎を分かりやすく」「勉強を好きになるきっかけをつくる」は私のメインテーマにしていきたいですね。先日配信した「丁寧な表現」という授業動画も、要は「仮定法」の話なのですが、私の指導経験だと「仮定法」というキーワードを用いて説明しても、一発でふに落ちて理解してくれる生徒さんはとても少ないです。“Would”や“Could”など過去形には「時間の距離」と「相手との距離」と二つの考え方があると説明するとより分かりやすくなるので、いろんな学習法を紹介していきたいと考えております。

 

また、「理解と暗記で立体的な思考が大切だ」とお話ししたように、学習フェーズに応じて、イディオムのような暗記がメインの授業動画も揃えていく必要があります。幸いスタディチャンネルには、バイリンガル英会話講師のシモン先生など、豊富な知識量と指導経験をお持ちの先生方がいらっしゃるので、役割分担しながら多様なニーズに対応するプラットフォームを目指して参ります。

 

――最後に、受験生の方にメッセージをお願いします。

 

【阿部先生】 勉強で困ったことや動画で授業してほしい単元などありましたら、YouTubeチャンネル等でぜひメッセージください。一緒に頑張りましょう!

 

また、今後「5文型」の授業動画を増やしていきますが、中3の皆さんはこの時期、「文型」をしっかり勉強しましょう。文法を分析する言葉を早い段階で覚えておくと、受験勉強はもちろん、高校入学後も英語の授業が理解しやすくなります。私が授業動画で扱うテーマにはそういうメッセージも込められておりますので、チャンネル登録してチェックしてくださいね! では、また動画でお会いしましょう!

 

 

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