第33回:過去問で「入試英語力」を高めよう

本多 敏幸(ほんだ としゆき)
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試験勉強をするとき、過去問(過去に出題された問題)は最も役立つ学習教材です。高校入試や大学入試、そして英検を受ける際に役立つ、過去問を使った学習法を紹介します。

33

 

 

目的を持って過去問に取り組む

 

高校や大学の入学試験に備えて、過去に行われた入学試験(過去問)を解くことにはいくつかの効果があります。

 

志望校を決めて勉強を本格的に始めたら、今年か昨年の過去問のどちらか1つを解いてみましょう。単に解くだけではなく、次の2つの目的を持って取り組みましょう。

 

① どのような問題が出題されたかを把握する

まずは、次のことを確認しましょう。

  • 試験時間
  • 設問数
  • 単語の総数
  • 問題の比率(リスニング問題、自由英作文、文法問題、語彙問題、読解問題、その他の問題)
  • 単語の難易度

単語の難易度は、高校の入試問題の場合、「注」にどんな単語が載っているのかを調べるだけでもある程度分かります。自分が知っている複数の単語に「注」があれば難易度はそれほど高くはないことになります。

② 自分の弱点を把握する

実際に解いてみて、難しく感じたところや、正解できなかったところがあなたの弱点です。文章を読んで意味の分からない単語が多ければ語彙力が不足していることになります。

過去問を解いて何点取ったかが大事なのではなく、できなかったところを確認し、そこを克服することが重要です。

 

都道府県の公立高校入試の場合、文法や語彙は中学校用の教科書の範囲を超えることはありません。したがって、自分の県だけではなく、他県の問題に取り組んでも勉強になります。問題をたくさん解くことで、問題に慣れ、解くスピードも上がります。

 

大学入試の場合は大学により難易度が異なります。大学受験はふつう1年以上をかけて準備するので、初めは易しい問題から解き、徐々に難しい問題に挑戦するとよいでしょう。

 

入試問題を解くための力を「入試英語力」と私は呼んでいますが、入試英語力は過去問を利用して高めることができます。これから過去問を使った学習法を紹介します。

 

 

 

過去問を使って「入試英語力」を身に付けるには…

 

【その1】 語彙力を高める

 

実際、入試のために、教科書の単語を覚え直したり、市販の単語帳を使ったりして、語彙力を増やす努力をしている人が多いと思います。

 

過去問でいくつも読解問題を読んでいくと、「この単語、よく見かけるなあ」と思うことがあるはずです。読解問題を作成するにあたっては、どうしても使用頻度が高くなる語句(単語やイディオム)が存在します。

 

語彙力を高める1つの学習法として、読解問題で「注」のついていない語句を完全に覚えることをお勧めします。いくつか異なるトピックの文章(読解問題)の全単語を覚えるだけで、入試英語力に必要な語句をかなりカバーできます。

 

問題を解いて分からなかったところ、できなかったところがあなたの入試英語力の「穴」となります。その「穴」を埋めることが大切なのです。大事なのは、何点取れたかではなく、分からなかったところを確認して、そこを克服することです。

 

良い学習にするかどうかは、問題を解いた後で何をするのかにかかっています。読解問題を読んで、分からなかった語句を取り出して整理し、覚えるようにしましょう。

 

単語の具体的な覚え方については、以下で紹介しましたので参考にしてください。

 

第3回:単語を覚える方法を見つけよう(1)

第4回:単語を覚える方法を見つけよう(2)

 

 

【その2】 時間配分をしっかり計算する

 

入試が近づいたら、これまで培った入試英語力を駆使して、すべての問題を実際の試験時間に合わせて解いてみてください。高校入試では、本番の1~2カ月前頃から始めるといいでしょう。

 

最近の入試問題は分量(1つの長文の語数や問題数)が多くなっています。1つの問題に時間をかけ過ぎると全部の問題を解き切れなくなってしまいます。

 

入学試験の問題形式が毎年大きく変わることはめったにありません。変わったとしても1~2の大問くらいです。したがって、どの問題にどのくらいの時間をかけるかという時間配分を事前に決めておくことで、効率よく時間を使うことができ、解き切れない問題が出るのを防ぐことができます。

 

時間配分を決めたら、あとはその時間内で解けるように練習します。10分で解かなければならない問題であれば、最初は12分などと少し長めに設定し、徐々に短くしていっても構いません。

 

高校入試でも大学入試でも、「全部を解き切れない」と悩む人はたくさんいます。時間がかかってしまう主な原因は、英文を読むスピードが遅い、分からない問題に時間をかけ過ぎている、の2つです。

 

英文を読むスピードが遅い人は、いちいち日本語に訳していたり、意味の分からない語句のところで読みが止まっていたり、同じ英文を何度も読んだりしていないでしょうか。

 

読解力を身に付ける学習法を以下で紹介していますので、参考にしてください。

 

第5回:様々な読み方をしてみよう(1)

第6回:様々な読み方をしてみよう(2)

 

また、分からない問題は時間をかけても解決しないことが多いので、とりあえず答えを書いておくか、後回しにしましょう。

 

リスニング問題でも、1つの問題の答えに迷って時間をかけ過ぎて、次の問題を聞き取るのに失敗したことはないでしょうか。分からない1つの問題を捨てて他の問題に影響するのを防ぐ「思い切り」も、入試では大事なことです。

 

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この記事の筆者について

本多 敏幸(ほんだ としゆき)

PROFILE

千代田区立九段中等教育学校指導教諭。東京学芸大学大学院教育学研究科英語教育専攻修士課程修了。ELEC同友会英語教育学会会長。英語授業研究学会理事。文部科学省「外国語教育における『CAN-DOリスト』の形での学習到達目標設定に関する検討会議」、「中央教育審議会中等教育分科会教育課程部会外国語ワーキンググループ」、「学習指導要領等の改善に関わる検討に必要な専門的作業等(中学校外国語)」協力者。全国各地で教員向けの講演を多数行う。
著書に、本多式中学英語マスターシリーズとして『反復基礎』『短文英単語』『速読長文』、『中学生からの勉強法』(以上文藝春秋)、『中学校新学習指導要領 英語の授業づくり』、『入試英語力を鍛える!授業アイデア&パワーアップワーク40』(以上明治図書)、『若手英語教師のためのよい授業をつくる30章』、『到達目標に向けての指導と評価』(以上教育出版)、『NHK CD BOOK 中学生になるまでに身につけたい! 小学英語 パーフェクト・レッスン』(NHK出版)などがある。

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