第7回 読解力と表現力を同時に鍛えよう【対話文編】

本多 敏幸(ほんだ・としゆき)
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これからは、英語4技能(聞く・話す・読む・書く)を統合的に活用して、聞く力と読む力で文脈を捉え、話す力と書く力で表現することが求められます。今回と次回は、「記述式問題」対策として、文脈を読んで捉え、書く練習を通して表現力を高める練習をしましょう!

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【今回のお悩み】英文を読んで、英語で表現する「記述式問題」が苦手…

 

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記述式問題で、自分の意見や考えを書く問題が苦手です。

良い練習方法を教えてください!

 

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英語で書く力を付けるために、これまでどんな練習をしてきたのかな?

 

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学校では和文英訳を行うことが多いです。

 

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和文英訳では、日本語から英語に直す力、英文を正確に書く力が向上するね。他には?

 

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与えられたトピックについて文章を書く練習もしています。

 

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なるほど。決まったトピックについて書くことで、構成力やまとまりのある文章を書く力が身に付くね。

 

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これからの新しい入試では、記述式問題で「表現力」が必要になると聞きました。

 

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表現力とは自らの考えや気持ちなどを相手に伝えるための「発信力」のことだね。

今回は、場面や状況、目的などをきちんと捉える「読解力」と、相手に伝わる文章を書く「表現力」高めるための練習をしよう。

次の対話文に続けて、自分で考えた会話を書いてみよう!

 

Student A: What do you usually do in your free time?
Student B:I listen to music. I like J-pop.

 

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生徒同士の会話で、Aさんが「暇なときは何をするの?」と質問して、Bさんが「音楽を聞くよ。J-popが好き」と言っているから…、 自分がAさんだったら音楽について質問します。第1回第2回でやった練習ですね!

 

Student A: What do you usually do in your free time?
Student B:I listen to music. I like J-pop.
Student A:Who is your favorite artist?
Student B:I often listen to Yonezu Kenshi. His songs are fantastic!

<日本語訳>
生徒A「普段暇なときには何をしているの?」
生徒B「音楽を聞いているよ。J-popが好きなんだ。」
生徒A「一番好きなアーティストは誰?」
生徒B「米津玄師をよく聞くよ。彼の曲はすごくいいよ!」

 

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いいですね。これまで学んだことを生かしているね。

今回は、このように対話文を把握し、自分で考えた内容を加える練習をしてみよう。学校で使っている教科書の対話文を使うのがおすすめだよ。

 

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対話文を読んで、それに続く対話を考えるんですね!

 

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対話文の後だけでなく、途中や最初に加えたりしてもいいよ。前に使っていた下の学年の教科書を利用するといいね。

 

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それなら難しくなさそうです!

 

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下の学年で習った簡単な英文に、今習っている高度な英文を書き足すこともできるね。

例えば、中学1年生の教科書の対話文に、現在完了形や関係代名詞などを使って英文を付け足すとか。

 

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話し手は誰か、どんな話題かを考えながら、文脈に沿った英文を書いてみます!

 

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では、文脈を捉え、話の流れに沿った英文を書く練習をもう少しやってみよう。

今回は英検3級や準2級の対話文を使って練習しよう。

 

 

 

【レッスン】 文脈を捉えて英文の続きを書こう

 

<練習> 次の対話文を読んで、その続きを自分で考えて書いてみましょう。

 

(1)
Boy: This homework is difficult.
Girl: I finished mine already, so I'll help you.
(英検 2020年度 第1回 4級 大問2より一部抜粋)

chuko_2020_point_icon女の子のセリフに対する応答文から考えよう。

先生からのアドバイスを見る

 

(2)
Woman: Kate is so good at tennis.
Man: Is she better than you?
Woman: Yeah. When we play together, she always wins easily.
(英検 2020年度 第1回 3級 大問2より一部抜粋)

chuko_2020_point_iconテニスの話題でもう少し対話を続けてみよう。

先生からのアドバイスを見る

 

(3)
Man: Are you ready for our trip to New Zealand tomorrow, honey?
Woman: Not yet. I'm still trying to decide what to take. What's the weather going to be like there?
Man: Let me check. My phone says that it'll be quite cold and snowy.
Woman: I see. I'll have to take a sweater, but it's so big and takes up a lot of space.
(英検 2020年度 第1回 準2級 大問2より一部抜粋)

chuko_2020_point_icon困っていることを解決するための対話に進みそうだね。

先生からのアドバイスを見る

 

 

chuko_2020_icon先生からのアドバイス

 

自分ならどんな会話を続けるか考えてみよう。考えるためには、対話の内容・状況などを正しく捉えることが必要だよ。

 

(1)
Boy: This homework is difficult.
Girl: I finished mine already, so I'll help you.

 

Boy(男の子)とGirl(女の子)が宿題の話をしていることから、小・中学生の対話だと推察できる。

 

何の宿題かははっきり分からないが、女の子がI'll help you.「手伝うよ」と言っているので、まずはこれに対する応答文を考えるとよいだろう。

 

「Yes, thank you.」(うん、ありがとう)

「No, thank you.」(大丈夫だよ、ありがとう)

 

その後に、自分なら何を伝えるか、相手はそれに対してどう返答するかを考えてみよう。

 

<解答例>

Boy: Thanks, but I'll try it by myself a little bit more.

Girl: OK. If you need my help, come to me. I'll be in the library.

Boy: Thank you, I will.

 

<日本語訳>
男の子「この宿題は難しいね」
女の子「私はもう終わったから、手伝おうか?」
男の子「ありがとう、でも、もう少し自分でやってみるよ」
女の子「分かった。もし助けが必要なら私のところに来て。図書館にいるから」
男の子「ありがとう、そうするよ」

 

 

(2)
Woman: Kate is so good at tennis.
Man: Is she better than you?
Woman: Yeah. When we play together, she always wins easily.

 

女性と男性の対話で、二人の友人のケイトはテニスが上手いという話をしている。どんな場面かはこの対話文からだけでは分からない。

 

最後に、When we play together, she always wins easily.「一緒にすると、彼女はいつも簡単に勝ってしまう」と言っていることから、ケイトがテニスが上手いことについて会話を膨らませるといいね。

 

<解答例>

Man: Really? I know you are a good tennis player.

Woman: Thank you. She said she has been playing tennis since she was in elementary school.

 

<日本語訳>
女性「ケイトはとてもテニスが上手なの」
男性「君よりも上手なの?」
女性「ええ。一緒にすると、彼女はいつも簡単に勝ってしまう」
男性「本当? 僕は君がテニスが上手だって知っているけど」
女性「ありがとう。彼女は小学校の時からずっとテニスをしているって言ってた」

 

 

(3)
Man: Are you ready for our trip to New Zealand tomorrow, honey?
Woman: Not yet. I'm still trying to decide what to take. What's the weather going to be like there?
Man: Let me check. My phone says that it'll be quite cold and snowy.
Woman: I see. I'll have to take a sweater, but it's so big and takes up a lot of space.

 

男性と女性の対話だね。honeyは夫婦や恋人同士で呼び掛ける言葉だからこの二人の関係は恋人同士か夫婦のようだ。状況としては、明日二人でニュージーランドに行くことになっていて、女性はまだ荷造りが終わっていない。

 

女性が最後に、I'll have to take a sweater, but it's so big and takes up a lot of space.「セーターを持って行かなければならないけど、とても大きいから場所をたくさん取ってしまう」と述べていることから、セーターを持って行くための解決策を加えるのも一つの方法だ。

 

英検の実際の問題では、この後に対話が続いているので、例として示すよ。

 

<解答例>

Man: Is your bag big enough?

Woman: I don't think so. Can I put some things in your bag?

Man: Sorry, mine is already full. Maybe you should take another bag.

Woman: OK. I'll bring my backpack.

 

<日本語訳>
男性「明日のニュージーランドへの旅行の準備はできたかい、ハニー?」
女性「まだなの。まだ何を持って行くべきか決めているところ。そこの天気はどうかしら?」
男性「確認してみるね。(携帯)電話によると、とても寒くて雪が降るってさ」
女性「そうなの。セーターを持って行かなければならないけど、とても大きいから場所をたくさん取ってしまうわ」
男性「君のカバンは十分大きいの?」
女性「そうは思わないわ。あなたのカバンにいくつか入れてもらえる?」
男性「ごめん、僕のはもういっぱいなんだ。多分もう一つカバンを持って行くといいよ」
女性「そうね。私のバックパックを持っていくわ」

 

 

 

今回のまとめ

 

今回は、場面、状況、文脈などを捉え、続きの英文を表現する練習方法を紹介しました。単に英文を書くだけではなく、自然な流れの対話文を自分で考えることが大切です。教科書などを使って自分でも練習を続けましょう。

 

今回はここまで。次回は今回の続きで、物語文を使った練習方法を紹介します。お楽しみに!

 

 

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この記事の筆者について

本多 敏幸(ほんだ・としゆき)

PROFILE

東京都の教員として38年間勤務。現在、千代田区立九段中等教育学校、都留文科大学、文教大学で講師として教えるほか、NHKラジオ「中学生の基礎英語レベル1」の講師として活躍。ELEC同友会英語教育学会会長。学習指導要領の改訂に関わる。また、全国各地で教員向けの講演を行っている。
著書に、本多式中学英語マスターシリーズとして『反復基礎』『短文英単語』『速読長文』(以上文藝春秋)、『中学校外国語新3観点の学習評価完全ガイドブック』、『入試英語力を鍛える!授業アイデア&パワーアップワーク40』(以上明治図書)、『若手英語教師のためのよい授業をつくる30章』(教育出版)、『NHK CD BOOK 中学生になるまでに身につけたい! 小学英語 パーフェクト・レッスン』(NHK出版)など多数。

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