総合型選抜攻略シリーズ①〜総合型選抜の今を知ろう〜

高校での探究学習が定着し、それを活かして総合型選抜にチャレンジする受験生が増えています。これまで以上に、他の受験生との差別化が求められる今、どのように準備を進めたらよいのでしょうか。総合型選抜に強い早稲田塾の中川敏和氏に話を聞いてみましょう。

 

 

総合型選抜の傾向と今後

 

「2025年度入試の総合型選抜は、例年と比べて大きな変化はありませんでした。ただ、総合型選抜の認知度は年々上がり、提出書類や人物評価に対するものさしはだいぶ厳しくなってきたといえるでしょう」(中川氏)           

というのも、私立高校や首都圏や関西など主要都市が中心だった受験生が、探究学習の定着で公立高校や地方にも広がり、受験者数が増加してきたからです。

また、以前から地方に注目している大学もあります。

「慶應義塾大法学部のFIT入試のB方式は、日本を7つの地域ブロックに分けて、各ブロックに定員を設けています。その目的として、卒業後に出身地域に貢献することが期待されていますが、多彩な地域から学生を集めて大学での学びを活性化させたいという意図もあると思われます」(中川氏) 

このように総合型選抜は、全国に拡大して競争率の高まる傾向にありますが、同時に大学での学びだけでなく、将来への明確なビジョンも大学によっては必要とされています。

では、そのための準備として何から始めたらよいのでしょうか?

 

 

総合型選抜を受験するならまずは「自分史」をつくろう!

 

「総合型選抜での受験を決めたら、何年生であっても最初に始めてほしいのが、自分史をつくることです。総合型選抜では、志望理由書や活動報告書など提出書類が必要です。そのためには、自分がどんな価値観を持っていて、何をしたいのかということを考えなければなりません。自分の価値観を知るという点で有効なのが、自分の過去に戻っていろいろと考える作業なのです」と中川氏。

そこで中川氏が紹介してくれたのが、早稲田塾で使用しているものと近い自分史作成の用紙です(つくり方は下記にあります)。

「自分史は親子で協力することが大切です。自分では気づかないこと、記憶にないことを親が教えてくれるからです。対話をしながらお互いの記憶を補完し、自分史を作成すると、自分の価値観や志向が見えてきます。この作業は、結果的に一般選抜を受ける人にとっても、自分の夢や目標を考えることができるので有効です」(中川氏)

自分史をつくり、自分の価値観が見えてきたら、それをやりたいことに結びつけます。そして、最初は上手に書けなくてよいので、まずは一度、志望理由書を書いてみるとよいそうです。

「最終的に合格できるレベルの文章を書けるようになるには、自分以外の人に添削してもらうことが大切です。保護者や先生、塾など客観的に見てもらってください」(中川氏)

総合型選抜では、大学とのマッチングも大切です。次回は、そんな次なるステップについて紹介します。

「早稲田塾式 親子でつくる自分史」のつくり方

1)A4用紙を4枚用意する。

2)4枚の紙を縦にして、一番上に以下のタイトルを記入する。
①0〜5歳
②小学生時代
③中学生時代
④高校時代

3)それぞれの紙の左に年齢を記入し、残りを3等分に分ける。

4)3等分に分けた部分は以下のように分ける
①自分(生徒本人)が記入する部分
②保護者が記入する部分
③自由記入欄

5)1歳ごとに、些細なことでも記憶にある出来事を記入する。

6)自分(生徒本人)、保護者それぞれ記入した後に、自由記入欄にその出来事に対しての思い出、印象を記入する。

7)記入した内容を見て、親子で一つひとつ深めていき、気付いたことをさらに自由記入欄に記入する。

8)記入された内容にある自分自身の価値観、成長が、今の自分が大切にしている価値観や将来の夢にどのように関わっているかを考えてみる。

 

取材協力:中川敏和(なかがわ・としかず)氏

早稲田塾執行役員

 

 

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