【SGH特集】現状と今後:課題解決能力を高め、グローバル・リーダーを育成

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文部科学省 初等中等教育局 国際教育課 課長補佐 荒井忠行氏に聞く。 文部科学省の「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」構想がスタートして1年が経った。全国の指定校56校(国立4校、公立34校、私立18校)は、応募時に提出した構想調書に基づいて、国際化を進める大学や国際機関・企業などと連携を図りながら、課題研究に取り組んでいる。

課題解決能力を高め、グローバル・リーダーを育成 

 

文部科学省 初等中等教育局 国際教育課の課長補佐・荒井忠行氏に、SGH構想と指定校の現状、今後の課題などについてお話を伺った。

 

 

 

なぜ、SGH事業が求められたのでしょうか。

 

科学技術の発展とともに経済が著しく成長するに伴い、国境を越えて、人、物、情報などが往来する「グローバル化」が加速しています。

 

このような社会情勢の変化を受けて、日本だけでは解決できない世界的な課題が浮き彫りになってきました。

 

そのような“正解のない”グローバルな社会課題について、解決するための手だてを自ら考え、対話や協働により国際的な視点で行動を起こすことのできる人材が、今、社会で求められています。

 

そのようなグローバル・リーダーと成り得る人材を高等学校の段階から育てていく必要があると考えました。

 

 

 

ここであらためて、SGHの目的と事業内容を教えてください。

 

SGH事業は「社会課題に対する関心と深い教養、コミュニケーション能力、問題解決力等の国際的素養を身に付け、将来、国際的に活躍できるグローバル・リーダーを高等学校段階から育成する」ことを目的としています。

 

2014年度は全国から国公私立246校の応募があり、56校(国立4校、公立34校、私立18校)を指定校として決定しました。指定期間は2014年度から2018年度までとし、5年間かけて課題研究に取り組みます。

 

課題研究のテーマについては「安全保障」「地球温暖化」といった国際的な課題のみならず、地域の課題をグローバルな視点を持って取り組むことなどもあります。

 

 

 

指定校はどのように研究を進めるのですか。

 

各指定校は、国際化を進める国内の大学をはじめ、国際機関や企業、海外の高校や大学などと連携を図り、課題研究に取り組みます。

 

生徒たちは、国際的に関心が高い社会課題、地元企業や大学と連携したグローカルな課題などについて、グループワークやディスカッションなどで活発な意見交換を行い、論文作成やプレゼンテーションなどの発表の場に臨みます。

 

また、各校では、研究の成果を他校や地域等へ発信する成果発表会を開催します。

 

 

 

SELHi(スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール)との違いは何ですか?

 

SELHiは英語力の向上を目指していましたが、SGHは英語力の向上を目指すものではありません。

 

SGHにおいて、英語はツールであり、社会の諸課題に対する関心を掘り起こし、深い教養と確かな見識、批判的思考力や問題解決能力などを備えたグローバル・リーダーを育てることを目指しています。このようなスキルの育成をすることの大切さについては、現行の『学習指導要領』においてもすでに示されています。

 

総則では、教科の枠を超えた横断的・総合的な課題について、各教科で習得した知識・技能を相互に関連付けながら解決するといった探求活動の質的な充実を図ることなどにより思考力・判断力・表現力等を育成することとされています。

 

そこで、SGH指定校においても、グループワークやディスカッション、論文作成、プレゼンテーションなどを通じて、論理的思考力や、批判的思考力、コミュニケーション能力、課題解決能力、行動力などの資質・能力を高めていきます。

 

 

 

SGH事業開始から1年。各校の現状と課題は?

 

どの指定校も、それぞれの構想に沿って、着実に計画を実施しています。中間成果発表会なども開催されていますが、少しずつ成果が表れてきているところです。

 

長年にわたって実践してきた取り組みを、国内外の企業や教育機関と連携して、さらに発展・充実させている学校も多く見受けられます。SGH指定をきっかけに新たな連携が生まれ、新たな取り組みを始めた学校もあるでしょう。

 

いずれも、テーマに基づいた「課題研究」に取り組み、横断的・総合的に学びを深め、課題解決能力の育成に努めているようです。

 

 

 

SGH指定校に何を期待していますか。

 

まず、構想調書に書かれた計画を5年間で着実に実施し、事業期間の終了後もその取り組みは継続してほしいと思います。

 

また、SGHの取り組みは、英語科だけの研究ではありません。校内で教科の枠を越えた取り組みとして、国語や地理・歴史、公民、数学、理科などの先生たちとも連携して、研究を進めていってください。

 

そしてさらに、グローバル人材を育成する地域の中心的な存在となり、近隣校や地域に研究成果を広めていく役割も担っていただきたいと思います。

 

 

 

グローバル人材の育成は、SGH以外の学校でも取り組むべき課題ですね。

 

SGHの取り組みや研究成果発表会などの情報は、幹事校の筑波大学附属学校教育局が運営するSGH公式ホームページで随時公開しています。指定校以外の学校の先生方にもこのホームページを訪れていただき、SGHの実践を参考に、ご自身の学校や地域の特性を生かして、独自の取り組みを考えて実践していただければと思います。

 

今、高大接続や大学入学者選抜の在り方が検討されています。知識偏重型だった大学入試は、今後、思考力や判断力、表現力、主体性、協調性などの人間としての資質や能力を問う試験へと変容していくことが考えられます。

 

このような力はまさに、SGHの課題研究を通して身に付くものであり、総合学習や教科学習の充実、分野横断型の学習、外部機関との連携など、高等学校における教育の変革につながるでしょう。SGHが日本の高校教育にもたらす影響は大きいと思います

 

 

 

「スーパーグローバルハイスクール」のホームページが2014年9月1日、開設されました

SGH構想の概要や指定校の検索、活動情報、成果・事例などが随時公開されています。「指定校の検索」機能を活用すると、取り組み内容やキーワードで絞り込むことができます。また、興味・関心に応じた取り組みをする学校の構想調書や学校ホームページ、SGH専用ホームページの閲覧も可能です。各指定校の取り組みは「活動予定」と「活動報告」で表示され、SGHとの連携協力を提案する国際機関等のリンクもあります。

» ホームページはこちら

 

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