必読! 日本語もきちんとできるバイリンガルの育て方

佐々木正孝
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英語を不自由なく話せる子どもに育てたい、と考えている親御さんも多いでしょう。しかし、むやみに英語漬けにするのは考えもの。どっちつかずの“セミリンガル”になるのを防ぐためには、「ベース」をしっかり作ることが大切です。

必読! 日本語もきちんとできるバイリンガルの育て方

 

バイリンガルよりもバイカルチャー!? 文化を学ぼう!

 

日常的に日本語が使われる環境で育った私たちは、母国語として自然に日本語を身につけることができました。同じように英語漬けの環境になれば、自然と「バイリンガル」になれるはず! と、つい思いがちです。

 

しかし、幼いころから外国語を学んだために、母国語がうまく使えない(もちろん外国語も中途半端)という「セミリンガル」になってしまうケースもあるそう。幼少期の英語教育が花盛りですが、一体どのようなポイントに気をつけて学ばせるべきでしょうか?

 

ベビー、キッズから一般まで、英会話教育を現場で教えてきた英語講師の上田美咲さんに聞いてみましょう。

 

「いわゆる『セミリンガル』という定義は私たちの教育現場ではあまり使わないのですが、2歳の女の子で、ことばの発達にやや遅れがあった、というケースはありました。

その子のお母さんはいわゆるバイリンガル、そしてアメリカで育っていたので、彼女は家庭の外でシャワーのように英語を浴びて育っていたんですね。しかし、家庭に戻ってお父さんとお母さんが話す時は日本語です。

そんな環境だったので、この子は、最初の言葉を話し始めるのに少々時間がかかったそうです。確かに、2歳で話し始め、というのは少々遅い気もしますよね。これは、日本語と英語の違いを理解する前に多言語に触れたため、脳内の言語関係の組み立てに時間がかかったと考えられます。

だからといって、その子が英語と日本語、どっちつかずになったということはありませんでした。少々遅れはあったものの、いざ話し始めたら問題なく育っていきました。今後、彼女はバイリンガルではなくバイカルチャーとして育っていくと思います」

 

バイリンガルではなくバイカルチャー? 気になるフレーズが出てきました。さらに解説していただきましょう。

 

「私の解釈では、バイリンガル=二つの言語が話せる人。そして、バイカルチャーは、言語だけではなく、二つの文化を理解している人、という認識です。言語だけ流暢に話せても、その会話に中身がなければ意味がありません。英語で深みのある会話ができるのは、欧米の文化のバックグラウンドをしっかり踏まえてこそ、ではないでしょうか」

 

もちろん、上田さんは「二つの言語に反応し、使いこなせる『バイリンガル脳』になるには、幼少期からの経験が重要」と強調してくれました。

 

確かに、日本語は流暢でも英語はおぼつかないモノリンガルな大人が英会話をするとき、脳内で日本語を英語に翻訳し、それから会話を始めます。そうすると、リスニングもスピーキングもワンテンポ遅れてしまうのは当然のこと。

 

脳の言語領域を日本語・英語でマルチに使いこなすのは、バイリンガル仕様の脳として構築する必要があるのかもしれません。

 

「いわゆるバイリンガルの人って、脳に日本語のチャンネル、英語のチャンネルを作っていて、それを切り替えているわけじゃないんです。だから、英語と日本語がミックスになることがたまにあります(笑)。

たとえば、シャワーを使った? という意味の英語表現は『Did you take a shower?』です。

だから、その感覚で日本人と話していると、『take』がミックスになってしまって、『シャワーを取った?』なんて聞いてしまったことがあるんです。あと、『aquarium』もそうですね。これは英語では水族館/水槽を意味する単語なんですが、これが同じになってしまって、『Do you go to an aquarium?』で『水槽に行く?』なんて言ってしまったことも」

 

 

環境づくりは大切だけど、そこに楽しさがなければ△

 

必読! 日本語もきちんとできるバイリンガルの育て方

 

バイカルチャー、あるいはバイリンガルに育てるためには、英語に親しむ環境づくりが重要だ、とよく言われます。キーワードは「臨界期」。

9~10歳とも8~11歳とも言われますが、この臨界期を過ぎるまで英語を使う環境にいれば、その後使わなくなっても英語を忘れない、と言われるものです。

 

つまり、子どもに英語を日々使わせる環境を維持するのが大事ということ。海外にいなくとも、家庭で積極的に英語を使っていれば、子どもが英語に親しんで、話せるようになるのは言うまでもない……のでしょうか?

 

「確かに、その一定の年齢までに英語を浴びていることはバイリンガル/バイカルチャーになるためには大切だと思います。

帰国子女でも、帰国してから英語を使わないので忘れてしまった人がいますが、その脳にはしっかりと英語のベースが築かれています。だから、年をとって英語を学ぶ機会があれば、他の学習者よりもマスターが断然早くなるんです。

しかし、家庭で英語を使うのはちょっと注意が必要だと思いますね。親がネイティブスピーカーであれば別ですが、発音に自信がないのであれば、英語を下手に使わない方がいいでしょう。

なぜなら、子どもは非常に聴覚が鋭敏ですから。上手ではない親の発音をそのまま覚えてしまう可能性があります。それよりは、インターナショナルスクールなどの環境に置くか、英会話スクールのベビーコース、キッズコースなどに通うのがおすすめですね」

 

上田さんに英会話スクールのカリキュラムをお聞きしたところ、0歳~4歳ぐらいまでの乳幼児は歌、ダンス、ゲームなどを重視したコース設定。小学校低学年まではゲームを重視した内容が続き、小学校4年ごろ(10歳)から次第にデスク授業が増えていく、という流れができているそう。

 

これはもちろん、言語脳の発達に密接にリンクしており、スムーズに英語になじんでいける工夫が凝らされているのです。

 

「幼いころほど耳が敏感なので、文法よりも発音やリズムで英語を覚えていく、ということが重視されています。

だけど、それだけじゃないんです。子どもにとっては何より“楽しさ”が大事。つまらないもの、興味を持たないものは覚えてくれませんからね、子どもって。音楽、ダンス、ゲーム、リトミック的なものに沿って学んでいくと、楽しく、そして英語嫌いにならずに習得していけるのではないでしょうか。

そしてお母さんが英語に消極的だと、子どもにも影響して、クラスでやや尻込みする傾向があります。ママが好きなものを好きになるのが子どもですから、親御さんも構えずに楽しんで臨んでいただければ」

 

なるほど。「自分が英語で苦労したから、我が子にはガッツリ勉強させたい」という親のプレッシャーがあっては、子どもはのびのび学べない、というわけですね。

 

親自身がワクワクしながら、子どもと一緒に英語にチャレンジ! そんな遊び心が、バイリンガル、いやバイカルチャーへの第一歩、と言えるのかもしれません。

 

 

お話をうかがった方:上田美咲(うえだ・みさき)氏

父の海外赴任に伴って、アメリカ・ニューヨークに中学~高校の期間滞在。英語のみならず、アメリカ文化を学んで帰国。大学を卒業して英語講師に。ベビー、キッズから一般、英検対策クラスまで幅広く担当している。

 

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この記事の筆者について

佐々木正孝

PROFILE

秋田県出身。情報誌、英語教育ガイドのムックなどで執筆するフリーライター/編集者。アメリカ留学経験を持つ妻のもと、家庭でも2児の父として英語教育のアシストに悪戦苦闘する日々。

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