英検対策講座【2級】大問2: 長文の語句空所補充問題

霜田 敦子(しもだ・あつこ)

解答・解説ページ

英検対策講座【2級】

 

Answers ~解答・解説~

 

次の英文を読み、その文意にそって(1)から(3)までの(   )に入れるのに最も適切なものを1, 2, 3, 4の中から一つ選びなさい。

[英検 2020年度 第2回検定問題より]

 

 

A Fresh Idea

 

 The Northwest Territories of Canada are known for their long, cold winters and short summers. In such conditions, growing fruits and vegetables is very difficult. The native Inuit people in those areas traditionally survived by fishing, hunting seals, and gathering small plants to eat. Nowadays, global warming has greatly limited their traditional food supply. Most Inuit communities now ( rely on modern grocery stores ) instead. However, these communities are far from farms and can only be accessed by airplane. This results in high shipping costs, which makes the food in stores very expensive.

 Due to these challenges, many Inuit ( do not get the variety of food ) that they need for a healthy diet. Many grocery stores offer mostly foods that do not go bad easily, which means people do not have access to a wide range of fresh fruits and vegetables. One solution is to build greenhouses, which are made of glass or plastic, to provide a warm indoor area where plants can grow. The town of Inuvik is one of the few communities in this region to have a greenhouse.

 Since it was created about 20 years ago, the greenhouse has helped the Inuvik natives to deal with their shortage of fresh food. Nevertheless, there have been difficulties with starting new greenhouses in other Inuit communities. ( For one thing ), the attitude of the local people towards these greenhouses is not always good. Because gardening has never been a part of Inuit culture, some communities have no interest in greenhouses. Because of this, more needs to be done to help educate Inuit towns about the benefits of greenhouses.

 

 

【 訳 】

新鮮なアイディア

 

 カナダの北西準州は、その長く寒い冬と短い夏で知られている。そうした条件の中で、果物や野菜を育てることは非常に難しい。こうした地域の先住民イヌイットの人々は伝統的に、漁業、アザラシ猟、小植物の採集をして食べていくことで生き抜いてきた。近年、地球温暖化が彼らの伝統的食料供給を大きく制限している。現在、ほとんどのイヌイット社会は、その代わりに近代的食料品店に頼っている。しかしながら、こうした地域社会は農場から遠く、飛行機でしか行くことができない。その結果輸送料が高くなり、それが店の食料をとても高いものにしている。

 こうした難しい問題のせいで、多くのイヌイットは健康的な食事に必要ないろいろな種類の食品を買うことができない。多くの食料品店はたいてい、腐りにくい食品を売っている。それは、人々が幅広い種類の新鮮な果物や野菜を手に入れる方法がないということである。一つの解決策は温室を作ることである。それはガラスやプラスチックでできていて、植物が育つことのできる温かい室内空間を用意するためのものである。イヌヴィックの町は、この地域で温室を持ついくつかの地域社会の一つである。

 およそ20年前に作られて以来、温室はイヌヴィックの先住民が新鮮な食料不足に対処することに役立ってきた。それでもやはり、ほかのイヌイット社会では新しい温室を作り始めることは困難だった。一つには、こうした温室に対する地元の人々の態度が必ずしも良いとは限らないからである。園芸はイヌイット文化の一部ではなかったので、温室に興味のない地域社会もあるのである。このため、イヌイットの町が温室の恩恵について学ぶためには、もっと多くのことを行う必要がある。

 

 

 

(1)

 

正解: 2

 

  1. receive support from the government
  2. rely on modern grocery stores
  3. make donations to their families
  4. recognize the difficulty of farming

 

 

【 選択肢の訳 】

  1. 政府から支援を受ける
  2. 近代的食料品店に頼る
  3. 彼らの家族に寄付をする
  4. 農業の難しさを理解する

 

【解説】

空所を含む文(第1段落第5文)は「現在、ほとんどのイヌイット社会はその代わりに(  )している」です。「その代わり」というのは、前文(第3文)にある漁業、アザラシ漁、小植物の収穫といった、伝統的食料供給方法の代わりということです。したがって、正解は2.「近代的食料品店に頼る」となります。

 

他の選択肢に関して、1、3、4は文脈に合わないので不可。

 

 

 

(2)

 

正解: 3

 

  1. understand the nutrition
  2. increase the number of crops
  3. do not get the variety of food
  4. cannot cook the fish

 

 

【 選択肢の訳 】

  1. 栄養について理解する
  2. 作物の数を増やす
  3. いろいろな種類の食品を買うことができない
  4. 魚を調理できない

 

【解説】

空所を含む文(第2段落第1文)は「こうした難しい問題のせいで、多くのイヌイットは彼らに必要な健康的な食物を(  )」です。難しい問題とは前段落の最終文にある「高い輸送費がかかるのでお店の食品がとても高い」ことですので、値段が高いことによって「どのようなことが起こるか」と考えます。正解は3.「(健康を維持するための)いろいろな種類の食品を買うことができない」です。

 

他の選択肢に関して、1、2、4は文脈に合わないので不可。

 

 

 

(3)

 

正解: 1

 

  1. For one thing
  2. In contrast
  3. Similarly
  4. Meanwhile

 

 

【 選択肢の訳 】

  1. 一つには
  2. それに対して
  3. 同様に
  4. その間に

 

【解説】

空所の前文 (第3段落第2文)で「ほかのイヌイット社会では新しい温室を作り始めることは困難だった」とあり、続く空所を含む文(第3文)は「(  )、地元の人々の温室に対する態度は必ずしも良いわけではない」と、困難なことの具体例を挙げています。空所を挟んだこの2つの文の関係は、「抽象(困難さ)」と「具体例(人々の否定的態度)」なので、正解は1.「(具体例を述べる接続表現) 一つには」となります。

 

他の選択肢に関して、2、3、4は文脈に合わないので不可。

 

補足:大問2では、英文中の接続表現を問う問題が、A、B各3問中1問出題されています。2級で出題される接続表現は必ず覚えましょう。

 

 

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この記事の筆者について

霜田 敦子(しもだ・あつこ)

PROFILE

英語教育(第2言語習得理論)を専門としている。立教大学文学部英米文学科卒業後、日本航空で国際線CAとして勤務。退職後、関東学院大学大学院で文学博士号取得。現在は関東学院大学、駒澤大学、実践女子短期大学、千葉工業大学で検定英語、リーディング、ライティングなどの授業を担当。2020年より実践女子大学研究推進機構研究員として、主にライティング指導法を研究している。『ヒューゴの不思議な発明』『ノッティングヒルの恋人』(スクリーンプレイ)、『シルフェ〈本の虫〉が語る楽しい英語の世界』(金星堂)の執筆にも携わる。

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