総合型選抜のことをもっと知ろう! 〜その2

大学受験の主役となりつつある総合型選抜について、前回は「学校の探究学習を利用すること」「好きなことを追究すること」「早めに準備を始めること」など紹介しました。今回は、総合型選抜の出願に必要な「志望理由書」を書くためのプロセスについて、総合型選抜に強い早稲田塾の中川敏和氏に話をうかがいました。

 

 

探究学習のテーマ選びが志望校選択にもつながる

 

まずは、前回のおさらいから。学校の探究学習を、総合型選抜の活動報告の提出資料に活用しようという話と、探究学習はどんなことでもよいので、自分の好きなことを徹底的に追究しようという話をしました。探究というと、壮大なテーマが必要な気がしますが、「自分の好きなアニメやアイドル、ゲームのことでもいい」という中川氏からのアドバイスでした。今回は、早稲田塾の卒塾生の一例を紹介しましょう。
A君は高2の時にカナダに留学したものの、コロナ禍で思っていたような活動ができませんでした。しかし、コロナ禍での日本とカナダの違いについて調べ学習を自主的に行います。自分のおかれた環境を生かしたテーマ設定です。一方で、ゲーム好きなA君は、ただゲームばかりをするのではなく、eスポーツについても探究したそうです。最初はゲームと直接関係の深い情報学を学びたいと考え、慶應義塾大学の環境情報学部を第一志望にしていましたが、ゲームの市場拡大について調べているうちにマーケティングに関心をもつようになり、学部学科、教員を鑑みて立教大学経営学部が第一志望になったそうです。
「やりたいことにいろいろ挑戦し、突き詰めたら一番やりたいことが見つけられた例です」と中川氏。探究学習によって自分の学びたいテーマが明らかになり、学校とのマッチングを重視した志望校選びにも反映させられた好例といえるでしょう。

 

 

自分史&活動のポートフォリオを作ろう!

 

探究学習が総合型選抜に活用できるといっても、どこから手をつけてよいかわからない人も多いでしょう。中川氏は、「まずは自分史づくり」を勧めてくれました。どんなものが好きで、どんなことに共感し、どんなことに影響を受けてきたのか、幼少期からの自分の歴史を振り返ることで、今の自分が何に興味があるのか、大学で何を学びたいのか、将来何をしたいのかなどが見えてくるからです。総合型選抜では、願書を出すタイミングで、志望理由書も提出しますが、「過去と現代が結びつくと、自己分析ができて、志望理由書を書く時にも有効です」と中川氏。というのも、なぜその大学でその学問を学びたいのか、自分の人生の中でのきっかけや根拠がつまびらかにできるからです。 このようにして作成した自分史や探究学習のプロセスや結果は、ポートフォリオにまとめておきます。ポートフォリオとは、自分の研究や作品など活動実績をまとめたファイルです。総合型選抜の提出書類にポートフォリオを義務付ける大学もあります。しかし、提出義務がなくてもポートフォリオにまとめておくことをオススメします。「ポートフォリオでなくても、総合型選抜の提出書類で活動報告書が必要なことは多いので、自分がやってきたことを書き出しておくことでまとめやすくなります」。

 

取材協力:中川敏和(なかがわ・としかず)氏

早稲田塾執行役員

 

 

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