総合型選抜のことをもっと知ろう! 〜その3

2回にわたってお届けした「総合型選抜のことをもっと知ろう!」も最終回です。今回は、あらためて、総合型選抜で求められる力、つまり志望理由書の対策や面接(口頭試問)で何が求められているかについて解説します。お話してくれたのは、総合型選抜に強い早稲田塾の中川敏和氏です。

 

 

「書く力」をつけるために始めること

 

前回までは、総合型選抜で提出する志望理由書の準備について紹介してきました。今回はまず、志望理由書や小論文を実際に「書く」ための力の付け方について紹介します。
志望理由書を書くためには当然、文章を書くトレーニングが必要です。中川氏によれば「大事なこと(=一番伝えたいこと)がわかる書き方をすることが重要」とのことです。書いた文章は、高校や塾の先生にチェックしてもらうのもよいですが、早稲田塾では講師からの講評のほかに高校生同士グループを組んで、互いの文章を添削する授業をしているそうです。
「自分の文章に対する他者の意見を聞くだけでなく、自分も他者の文章に対して意見することで採点者の視点がわかるようになります」
中川氏はさらに「良質な文章をたくさん読むことと、様々なコミュニティの人たちと交流し、多様な価値観に触れることも大切です。ふだん一緒にいる家族や部活の仲間以外の多種多様な人々の視点を知ることで、自分の表現力が豊かになります」と続けます。
良質な文章として参考にするなら、新聞や先行研究論文などがオススメです。高校の「探究学習」で研究しているテーマがあるなら、論文検索サイトを利用して、同じようなテーマで研究している大学の先生や学生の論文を読んでみましょう。英語の論文しかなければ、英語の勉強へのモチベーションにもなります。「それは難しい」という人は、まずは本屋や図書館で「好きだな」と思う本から手にとって、文章に慣れることから始めてください。

 

 

面接で問われるのは
面接官の気持ちを引き付ける「対話力」

 

総合型選抜での面接について、中川氏は「慶應義塾大学法学部のFIT入試の面接は、個別の口頭試問ですが、1つのテーマに対して反対か賛成かに分かれて教授と議論します。ただ、決して論破することが求められるのではなく、対話する力を見られています」と話します。 これは一例ですが、多くの面接で、臨機応変な「対話力」が問われており、教授に「この受験生がほしい」と思わせるような会話のキャッチボールを重ねられることが大切です。
文部科学省が謳う学習指導要領で「生きる力」の先にある「思考力、判断力、表現力」が注目されていますが、その資質を顕著に見ることができるのが面接です。 「総合型選抜以前の入試は、受験生個人が一人で得た知識を問い、過去の前例を軸に合否を判断するものが中心でしたが、現在は多様な価値観を重ね合わせて問いを立てる力が重視されています」
今、大学が求めている学生は、チームで問いを立て、異なる意見を重ね合わせ、協力して解決するためのコミュニケーション力をもつ人です。それは、従来のディベートのように、対決する相手を言い負かすものではないので、SNSでよく話題になる「論破」が好きな人は要注意です。

 

取材協力:中川敏和(なかがわ・としかず)氏

早稲田塾執行役員

 

 

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