前回は、スコア(級)を持っていると大学受験を有利に進めることができる「英語外部検定利用入試」があるとお伝えしました。でもどのくらい有利なのか知りたいですよね? そこで今回は、実際に英検®などの各種英語外部検定がどのように大学入試で活用され、有利になるのか、どんな活用パターンがあるのかを詳しくチェックしていきます。
英検®をはじめTOEFL®やTOEIC®など、各種英語外部検定のスコア(級)を持っていると、実際に大学入試でどんなメリットがあるのかを具体的に見ていきましょう。
たとえば、英検®の場合は出願資格、点数換算・加算、受験免除と大きく3つのメリットがあります。さらに同じ点数だった場合の判定優遇や合否参考などさまざまな優遇措置があります。ただし、スコア(級)の利用条件や優遇レベルは大学や学部ごとに異なるので、ある程度、志望大学が絞れている人は最新の入試情報を早めにリサーチしておくことが大切です。
英語外部検定で有利になる大学入試での優遇措置って
英語外部検定が大学入試で有利になる優遇措置は、出願資格、得点換算、加点、判定優遇・合否参考、試験免除があります。これらの優遇措置は、大学や学部によって違います。また、採用する外部検定の種類や認定する級・スコアなどの基準も、大学・学部・学科・選抜区分によって異なりますし、年度によっても変わってきます。自分の志望校がどのように外部検定利用入試を採用しているのか、最新の募集要項などで確認しておきましょう。
【1】出願資格
まずは出願資格です。これは入試出願に英語外部検定のスコア(級)を持っていることが「必須条件」になっているパターンです。大学や学部によっては、条件を満たす級やスコアを持っていないと出願できません。とくに総合型選抜や学校推薦型選抜による受験では、出願の条件に定めている場合が多くなっています。
例)明治大学-商学部
【一般選抜 学部別 英語4技能試験活用】
英検®2級以上、GTEC(CBT)930以上、 IELTS4.0以上、TEAP225点以上、TOEFL iBT®42以上
例)明治大学-国際日本学部
【一般選抜 学部別 英語4技能試験活用】
英検®準1級以上、GTEC(CBT)1180以上、 IELTS5.5以上、TEAP309点以上、TOEFL iBT®72以上
例)中央大学-商学部
【英語外部試験利用方式】
英検®CSE2150以上、GTEC(検定版・CBT)930以上、IELTS4.0以上、TEAP225以上、TOEFL iBT®42以上、TOEIC LR&SW790以上
【2】得点換算
英語外部検定の級やスコアが、英語試験の点数に換算されるパターンです。検定の成績次第では、「満点」に換算される場合もあります。また、大学によっては、換算得点と入試当日の英語点数を比較して、点数の高い方を採用するケースもあります。国立大学でも検定試験の点数を大学入学共通テストに換算しているところもあります。
例)学習院大学―国際社会科学部
【一般選抜 プラス試験】
英検® 2級 1980~1級 2630、GTEC 1050~1370、TEAP 210~390などで換算点100~150点換算。
例)金沢大学-全学部
【一般選抜 前期】
英検®:1950以上、GTEC(検定版・CBT)960以上、IELTS4.0以上、TEAP:225以上などで共通テストの英語の得点に換算。共通テストの英語の得点と比較して高得点の方を利用。英語外部試験利用の場合も共通テストの英語を受験する必要あり。
【3】加点
外部検定の級やスコアに応じて英語試験に得点が加算されるパターンです。たとえば、200点満点の試験で160点だった場合、英検®1級を持っていれば20点プラスで180点になるような優遇の仕組みです。一般的に、英語試験の満点を超えて加算されることはありません。
例)千葉大学-国際教養学部
【前期】
英検®1級または準1級(2500以上)、TEAP®375以上、IELTS6.5以上、TOEFL iBT®80以上などで満点換算。英検®1級または準1級(2300以上)、TEAP®309以上、IELTS5.0以上、TOEFL iBT®62以上などで40点加点など、スコアに応じて個別試験の外国語の得点に加点します。
例)早稲田大学-国際教養学部
【一般選抜】
英検®1級、GTEC(検定版・CBT)1350以上、IELTS7.0、TOEFL iBT®95以上などで20点。英検®準1級、GTEC(検定版・CBT)1180~1349、IELTS5.5~6.5、TOEFL iBT®72~94以上などで14点。英検®2級、GTEC(検定版・CBT)930~1179、IELTS4.0~5.0、TOEFL iBT®42~71などで7点など資格レベルに応じて加点します。
【4】判定優遇・合否参考
直接点数などにはなりませんが、外部検定の級やスコアを持っていれば、出願書類の評価や合否判定の際に参考とされる、あるいは優遇を受けられるというパターンです。たとえば、英語の学科試験の得点がボーダーライン上にあった場合、英検®取得者が優遇されるといったイメージです。
例)筑波大学-全学部・学科
【学校推薦型選抜】
社会・国際学群国際総合学類:CEFR B2以上を有する場合に総合評価に反映。
医学群医学類: CEFR C1以上を有する場合に総合評価に反映。
上記学類を除いた学群・学類: CEFR B1以上を有する場合に総合評価に反映。
C1:英検®2600以上、GTEC(検定版・CBT)1350以上、IELTS 7.0以上、TOEFL iBT®95以上など
B2:英検®2300~2599、GTEC(検定版・CBT)1180~1349、IELTS 5.5~6.5、TOEFL iBT®72~94など
B1:英検®1950~2299、GTEC(検定版・CBT)930~1179、IELTS 4.0~5.0、TOEFL iBT®42~71など
【5】試験免除
外部検定の級やスコアが基準を満たせば、英語の試験が免除されるパターンです。「出願資格」や「得点換算」と組み合わせて試験免除となる場合が多く見られます。これによって勉強時間を英語以外の科目に集中して使えるメリットがあります。ただし、英検®2級や準1級以上と高い級を条件としている大学が多いようです。
例)早稲田大学-文化構想学部
【一般選抜 英語4技能テスト利用方式】
英検®2200以上、TEAP®470以上、IELTS 5.5以上、TOEFL iBT®60以上などで外国語試験免除。
明治大学-経営学部
【一般選抜 英語4技能試験活用方式】
英検:総合スコア2200かつ4技能それぞれ530、TEAP:総合スコア290かつ4技能それぞれ70、TOEFL iBT®:総合スコア64かつ4技能それぞれ13などで外国語試験が免除となります。総合スコアだけでなく各技能スコアも基準をすべて満たす必要があります。
今回ご紹介した5つの優遇措置は、どれも英語外部検定で、ある程度の級やスコアを持っている受験生にとってはアドバンテージとなります。受験を有利にするために、高いスコアや級を目指して、早いうちから英語外部検定を受けておくことをお勧めします。ただし、学校や学科によって、有効期限などの条件もあります。
また、上記の例は、昨年のものです。必ず募集要項で最新情報を確認しましょう。
※上記(例)は英ナビ!調べ