一般選抜攻略シリーズ①〜2025年度入試結果から傾向を知ろう〜

9月は共通テスト出願の時期です。高3生は、2026年度入試の準備に本腰を入れ始めたことでしょう。年内入試(総合型選抜・学校推薦型選抜)を受験する人が増えている現在ですが、それでも一般選抜に挑戦する人も少なくありません。どう対応したらよいのか、まずは2025年度入試の結果から傾向を探ってみましょう。お話してくれたのは、代々木ゼミナールで教育情報センター教育情報室 室長を務める木戸葵氏です。

 

 

初の新課程入試は平均点アップでも、気を抜かないこと!

 

2025年度入試は、初めての新課程入試として注目されていました。このように入試に変更点のある年は、受験生にとって取り組みやすい出題になる傾向があると言われていますが、実際のところ結果はどうだったのでしょうか?

「共通テストでは『情報Ⅰ』の平均点が69.26点と高得点になりました。共通テストはだいたい50 点後半〜60点前半の平均点を目指して作成されているので、7割弱はかなり高いことがわかります。正答率が100%に近い問題も続出し、受験生にとって取り組みやすい試験だったことでしょう。また、新課程入試という未知への不安もあり、受験生本人やサポートする先生の努力も、点数の伸びに影響したと思われます」(木戸氏)

新課程入試では、共通テストの変更点が多い中、特に不安視されたのが「情報」の教科新設でした。ところが、蓋を開けてみると高めの平均点となりました。

「読解力があれば解ける問題で、『情報』の教科に携わる現場からは『難しい用語など一生懸命に知識を吸収した受験生にとっては、差がつきにくく報われない内容だった』と聞きます。ただ、今回の出題が簡単だったからと気を抜かないようにしましょう。2026年度入試では、前年度よりも平均点を下げるために難易度が上がると考えられます」

難易度が上がるのは「情報」だけに限りません。どの科目も難しくなると考えて、しっかり勉強に励みましょう。

 

 

募集停止の大学や学部学科の再編に要注意!

 

一方、18歳人口の増加もあり、2025年度入試では志願者倍率が上がりました。

「国公立大学の合計では、2024年度の4.28倍に対して2025年度は4.36倍、私立大学でも11.9倍から13.1倍に上がりました。そのうち共通テスト利用入試に絞ると、さらに上がっていて、17.6倍が19.9倍になっています。ただ、私立大学は募集人員より多く合格者を出すため、実際の倍率はもう少し落ち着いた数字になるでしょう。いずれにせよ、一般選抜の募集人員が総合型選抜や学校推薦型選抜など年内入試に流れていることもあり、志願倍率は上がっていく傾向にあります。ただし、すでに全入時代に入っているため、大学を選ばなければ合格が容易なケースもあります」(木戸氏)

18歳人口は今年度も増えます。それによって志望倍率が上昇する可能性が考えられますが、さほど大きな変化ではないので、あまり気にする必要はなさそうです。ただ、受験生に気をつけてもらいたいのが、急に発表される一般選抜の募集停止です。

「年内入試で募集人員を満たしてしまった結果、一般選抜を行わないという大学がありました。勉強をがんばってチャレンジしようとしていた受験生にとっては、少なからず混乱を招いたことでしょう」(木戸氏)

また、学部学科の再編で、志望していた学部学科がなくなったり、大学そのものが募集を停止してしまうこともあります。入学後に募集停止となり、最後の卒業生になることも考えられます。志望する大学の動向は常にチェックしましょう。

志願者数の地域差についても聞いてみましょう。

「私立大学に関しては、関東と近畿の志願者が増えています。ただ、東北や中四国、関東でも北関東では志願者減となり、首都圏に人気が集中しました。コロナが落ち着き、地元から出る傾向が見られますが、それは国内だけに限りません。全体からすればごく少数ですが、海外の大学に進学する人も目立つようになってきました」(木戸氏)

2025年度入試の結果はあくまで参考程度に。自分自身の受けたい大学、学部学科の情報収集をきちんと行いながら、日々の勉強に努めることが一番ですね。

次回は、志望学部・学科の傾向などを紹介します。

 

 

取材協力:木戸葵(きど・あおい)氏

代々木ゼミナール 教育情報センター教育情報室 室長

 

 

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