どうせ大学で学ぶなら最も注目されている最先端の学びがいいなと考えている人もいるのではないでしょうか?誰も到達していない先を知るのが、学問の醍醐味ですから、そう思うのはもっともです。でも、最先端の学びには落とし穴もあります。今のトレンドを考えながら、どんなことに注意したらよいのか一緒に考えましょう。
今、熱い学問ってナニ?
誰もが思い浮かべる最先端の学問は、「データサイエンス」、今なら「AI」に違いないでしょう。ここ数年でAIの進化は目覚ましく、デジタルネイティブである高校生の誰もが日常的に使いこなしているのが現状です。それ以外にも、コンピュータを遥かに上回る計算能力をもつ「量子技術」も注目されています。
他にはどんなものがあるでしょう? たとえば、「宇宙開発」。NASAによるアルテミス計画は、アポロ計画以来の有人月探査プロジェクトとして注目されています。壮大な計画ですが、日本人宇宙飛行士も参加予定なので、何だか身近にも感じます。もしかしたら、何らかの形で関わるチャンスがあるかもと思わせてくれます。
一方で、ホルムズ海峡の閉鎖で注目されるのが「エネルギー問題」です。ちょうど2025年度のノーベル化学賞を受賞した北川進氏(京都大学特別教授)の研究テーマがエネルギー問題に貢献する「金属有機構造体(MOF)の開発」です。化学分野の最先端といわれていますが、エネルギー問題=環境問題であり、環境分野も「最先端」が不可欠な注目分野です。
何だか理工系ばかりですが、果たして「最先端」は理工系だけのものなのでしょうか? 実はそんなことはありません。文系の従来の研究も、最先端の技術によって、さらにその先へと推進させることができます。
たとえば、AIやデータサイエンスなどの情報技術によって、文学研究における文献の検索・精査のスピードがアップし、これまで人的・時間的労力をかけていた作業が、場合によっては一瞬で終えられるようになりました。また、考古学や美術品の修復分野でもX線を利用することで、遺物や絵画を傷つけずに非接触調査が行えるようになっています。これまでわからなかった遺物の中までわかるようになり、「最先端」を生み出しています。
最先端を上手に利用できる人になろう
「最先端」は、文字通り「最も先にある端」で、先端だけでは成り立ちません。壮大な研究テーマになればなるほど、先端を支える周辺研究が必要となります。逆に「最先端」を利用した多彩な学問を派生させ、理系文系を問わず、従来の学問の新展開にもつながっていくのです。
直接的な研究だけでなく、AIエージェント機能を活用できる人ならば、文理問わず、研究活動の周辺的な些末な作業の効率化も図れます。AIなど情報分野に強い人はどんな職業でも重宝しますが、データサイエンスやAIなどに触れる授業は、共通科目として導入されていることがほとんどなので、必ずしも専門的に学ぶ必要はありません。
ただし、最先端は諸刃の刃です。原子力の開発は、利便性の高い生活を与えてくれた一方で、核の脅威をもたらしています。情報技術の向上も、常にスパイウェアとの戦いです。今、大学を2分する話題に、軍事研究容認の有無がありますが、自分の研究が意図しない方向に進まないかどうかも、慎重に考える時代になっているといえるでしょう。最先端に携わったり、利用したりする責任や覚悟、倫理観を意識したいものです。
「最先端」は変化していくものなので、一般的な社会生活を送るのであれば、常に学び、取り入れることが得策です。その上で高校生の進路選択では、「今の最先端」に決して振り回されず、自分の志向や能力と向き合って考えることが大切です。
