総合型選抜攻略シリーズ①〜総合型選抜の今〜

近年、総合型選抜が注目されています。従来のテスト型の選抜ではなく、その大学や学部学科への理解、高校で何をしてきたのか、大学で何をしたいのか、学びへの意欲など多角的に受験生を見てくれるのが総合型選抜です。正確な計算や知識はAIが与えてくれる時代、これから求められる人物像を測るための試験ともいえます。そんな総合型選抜について、総合型選抜に強い早稲田塾執行役員の中川敏和氏が教えてくれました。

 

 

受験者数が増え続ける総合型選抜

 

総合型選抜の2026年度入試の結果は、知名度が上がってきたこともあり、受験者数が増えました。そのため、総合型選抜は年々難しくなってきているといえます。単純に母数が増えたからということだけでなく、受験生のレベルも上がっているようです。こうした変化の一つに、生成AIの影響があると中川氏は指摘します。

「高校生も生成AIを使いこなし、総合型選抜の志望理由書も生成AI を頼れば、誰でも体裁の整った文章を書けるようになりました。ただ、表面的な文章では大学教授の目はごまかせません。自分の中から生まれた問いについて、しっかり向き合った結果なのかどうか、より厳しく受験生自身のマイストーリーや過程が問われるようになったといえるでしょう。文章にする時に、自分で調べ、文章と“対話”しながら試行錯誤して書いたものなのかどうかは、面接で一目瞭然となります」(中川氏)

マイストーリーとは個人的な人物史を指します。これまでも人物評価が重視されてきた総合型選抜ですが、生成AIの利用拡大に伴い、誰もが同じように整った文章を提出できるようになったことで、よりパーソナルなマイストーリーが注目されるというのです。

「生成AIに書かせてもそれなりの文章ができてきますが、そこに個人の物語は反映されにくく、平べったい文章になってしまいます。結局、面接時に自分の言葉で話せなければ評価につながりません。また、調べ物についても、積極的にAIを利用してかまわないと思いますが、出てきたものを鵜呑みにせず、必ずエビデンスをとり、自分の文章に組み込むための“対話”を心がけてください」(中川氏)

 

 

総合型選抜で大学がほしい人物とは?

 

そもそもどんな学生が欲しくて大学は総合型選抜を実施するのでしょうか? 基本的には「大学のアドミッション・ポリシーを理解し、自分の学びたいことと合致していること」「その大学の学部学科で学ぶ意欲があること」が求められていますが、こうした学力だけでは測れないものを重視するのが総合型選抜です。

「総合型選抜で大学が求めるのは、とがった学生です。学力評価で入ってきた学生の中に、総合型選抜で入った少しとがった学生が入ることで、全体が活性化するからです」(中川氏)

受験生の増加には、公立校からの志望者増も影響していますが、学校をあげて中学時からさまざまなプロジェクト活動を行って総合型選抜対策を行っている私立校がある中、公立校は不利ではないか心配する声も聞かれます。しかし、中川氏はそんな不安を払拭してくれました。

「公立校の生徒は、学校を頼らずに自主的に何かをすることが多く、そこに強みがあります。大学に求められるのは、活動の規模や回数じゃないのです。たとえたった一度のボランティアでも、その1回で自分は何を考え、どう問いを立てて、大学で何をしたいかが問われるのです。ですから、必ずしも特別なプロジェクトや海外経験をする必要はありません」(中川氏)

ということは、私立校の生徒もまた、学校から与えられたプロジェクトに乗るだけではなく、自ら考え動くことで、そこから出た問いを発展させる必要がありそうです。

最後に中川氏からメッセージをいただきました。

「繰り返しになりますが、総合型選抜では自分の言葉で伝えることが大切です。その延長線として、今後はますます英語力が重要です。AIで翻訳も容易な時代ですが、英語でコミュニケーションがとれることは、多様な価値観を受け入れる上でも重視される能力です。総合型選抜でも活用できるので、英検®など日本基準の検定試験から始め、TOEIC®やIELTSTMなど国際基準の試験を受けてみることをお勧めします」(中川氏)

 

 

取材協力:中川敏和(なかがわ・としかず)氏

早稲田塾執行役員

 

 

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