第3回:単語を覚える方法を見つけよう(1)

本多 敏幸(ほんだ・としゆき)

「英語は覚えることが多くて大変だ!」という声をよく耳にします。単語や表現を簡単に覚えられたら、英語の勉強がぐんと楽になりますね。単語をしっかり覚えて忘れない方法を、2回にわたって紹介します。

英語力を伸ばす学習法 第3回

 

 

まず、私たちが日頃使っている漢字のことを考えてみたいと思います。

 

「バラ」という花がありますね。聞いたり話したりする活動の中で「バラ」という言葉は使えますが、漢字で正しく「薔薇」と書ける人は少ないでしょう。

 

花の名前をもう1つ例に挙げます。ある本に「蒲公英」と書いてありました。あなたはこの漢字が読めますか? 正解は「タンポポ」です。漢字は知らなくても、「タンポポ」といえば、誰でも知っている花でしょう。

 

英語の単語にも、漢字と同様に様々なレベルがあります。「聞けば理解できるレベル」「単語を見れば(読めば)理解できるレベル」「話す活動で使えるレベル」「書く活動で使えるレベル」「どのような場面で他のどんな単語とどのように組み合わせて使うか分かっているレベル」などです。

 

すべての単語のつづりを書ける必要はありません。聞いたり読んだりしたときに意味が分かれば十分な単語もあります。

 

せっかく単語を覚えるのなら、しっかりと長く記憶して、後で使えるように覚えたいものです。では、どのように覚えればよいのでしょうか。

 

 

 

その1 覚えるための短い時間をたくさんつくろう!

 

「『ギター』を“guitar”にする」といったように、日本語を英語に直すタイプの単語テストが1週間後にあるとしましょう。あらかじめ指定された100語を、あなたはいつ覚えるでしょうか? 「前日と当日に覚えればいいや」と考えているかもしれません。しかし、短期間に暗記したものはすぐに忘れてしまい、しっかりと身に付かないものです。

 

人間の脳は、記憶したものを忘れるようにできています。テスト当日には書けた90の単語も、2日後には半分くらいしか書けなくなっているかもしれません。

 

一度だけ会ってあいさつを交わした人は忘れてしまっても、何度か会って話をすれば、もうその人のことは忘れませんね。単語も一緒です。長く記憶するためには何度もその単語に出会う必要があります。つまり、テストの直前に集中して一度で覚えるより、何日もかけて、何度もその単語に触れるほうが、後々記憶に残るのです。

 

また、集中して覚えようとすると脳がとても疲れます。勉強に取り掛かって最初のうちはどんどん覚えられても、後半はなかなか覚えられなくなっていたということはないでしょうか。2時間かけて一度で覚えるよりも、20分程度の勉強時間を何回も設けるほうが、効率よく単語を覚えられるというわけです。

 

 

その2 体を使って覚えよう!

 体を使って覚えよう!

 

単語を、目だけを使って覚えようとしていませんか? 体の複数の箇所を使うことで、覚える力がアップします。

 

例えば、口を使って、単語のつづりを見て声に出して言ってみましょう。英語を習いたての人なら、単語を発音することで単語のつづりと音の関係もだんだんと分かってきます。

 

手を使って、書いて覚えることも大切です。「イヌ」のdogのような簡単なつづりならいちいち書いて覚える必要はないかもしれません。しかし、「キリン」のgiraffeのように、難しいつづりの単語は書いて覚えるに限ります。

 

「目」で見るだけでなく、「口」を使ってぶつぶつ単語を言ってみて、さらにぶつぶつ単語を言いながら「手」を使って書いてみましょう。こうすることで記憶が定着し、しっかりと覚えることができます。

 

 

『英語力を伸ばす学習法』リストページ

https://www.ei-navi.jp/news/nobasu/list/

 

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この記事の筆者について

本多 敏幸(ほんだ・としゆき)

PROFILE

東京都の教員として38年間勤務。現在、千代田区立九段中等教育学校、都留文科大学、文教大学で講師として教えるほか、NHKラジオ「中学生の基礎英語レベル1」の講師として活躍。ELEC同友会英語教育学会会長。学習指導要領の改訂に関わる。また、全国各地で教員向けの講演を行っている。
著書に、本多式中学英語マスターシリーズとして『反復基礎』『短文英単語』『速読長文』(以上文藝春秋)、『中学校外国語新3観点の学習評価完全ガイドブック』、『入試英語力を鍛える!授業アイデア&パワーアップワーク40』(以上明治図書)、『若手英語教師のためのよい授業をつくる30章』(教育出版)、『NHK CD BOOK 中学生になるまでに身につけたい! 小学英語 パーフェクト・レッスン』(NHK出版)など多数。

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