英検対策講座【2級】大問2: 長文の語句空所補充問題

本多 敏幸(ほんだ・としゆき)

解答・解説ページ

英検対策講座【2級】

 

Answers ~解答・解説~

 

次の英文を読み、その文意にそって(1)から(3)までの(  )に入れるのに最も適切なものを1、2、3、4の中から一つ選びなさい。

[英検 2021年度 第3回検定問題より]

 

 

A Feeling for Music

 

 The music of the German composer Ludwig van Beethoven has given happiness to generations of listeners. However, as is well known, Beethoven began to lose his own hearing in his late 20s. By the time he was 44, he was deaf and could hear hardly any sounds at all. ( 1 ), he did not stop writing music, and some of his most famous works were composed after he had lost his hearing.

 

 To celebrate the 250th anniversary of Beethoven's birth, Mate Hamori, the conductor of an orchestra from Hungary, held some special concerts. He invited groups of deaf people to come and enjoy Beethoven's music. In order to “hear” the music, some of the audience members sat next to the musicians and placed their hands on the instruments. By doing this, the deaf people could feel the vibrations made by the instruments as they were being played. Other audience members held balloons which allowed them to feel the music's vibrations in the air. They were able to use ( 2 ) to experience the music.

 

 The concerts were a success. Zsuzsanna Foldi, a 67-year-old woman who had been deaf since she was a baby, cried with joy when she was able to “hear” Beethoven's Fifth Symphony in this way. Although Hamori's idea was unusual, it was not his own. As Beethoven was becoming deaf, he used a piano when writing music. He discovered that the instrument allowed him to feel his music through his fingers. Hamori took Beethoven's idea and used it so that people who ( 3 ) could enjoy the composer's music.

 

 

【 訳 】

音楽の感触

 

 ドイツの作曲家ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの音楽は何世代もの聴衆に幸せを与えてきた。しかしながら、よく知られているように、ベートーヴェンは20代後半に自身の聴力を失い始めていた。彼が44歳になる頃までには聴力を失い、いかなる音もほとんどまったく聞こえなくなった。たとえそうなっても、彼が作曲をやめることはなかった。そして彼の最も有名な作品のいくつかは、彼が聴力を失ってから作曲されたものだった。

 

 ベートーヴェンの生誕250年を祝って、ハンガリーのオーケストラの指揮者メイト・ハモリはいくつかの特別コンサートを催した。彼は、耳の聞こえない人々のグループがコンサートに来てベートーヴェンの音楽を楽しめるように招待した。音楽を「聞く」ために、ある聴衆は演奏者の隣に座り彼らの手を楽器に置いた。こうすることで、耳の聞こえない人々は楽器が奏でられているときに起きる振動を感じることができた。別の聴衆は、音楽による空気中の音の振動を感じることができるように風船を手に持った。彼らは音楽を認識するために、触覚を使うことができた。

 

 そのコンサートは成功した。赤ちゃんの時から耳が聞こえない67歳の女性スザンナ・フォルディは、このような方法でベートーヴェンの交響曲第5番を「聞く」ことができたとき歓喜の涙を流した。ハモリのアイデアは珍しいものだったが、それは彼自身のものではなかった。ベートーヴェンは耳が聞こえなくなったとき、曲を書くときにピアノを使っていた。彼は、楽器が彼の指を通して音楽を感じることを可能にしてくれることを発見した。ハモリは、同じ困難に直面している人々がその作曲家の音楽を楽しむことができるように、ベートーヴェンのアイデアを取り入れて用いたのだった。

 

 

 

(1)

 

正解: 1

 

  1. Even so
  2. Rather
  3. For once
  4. Therefore

 

 

【 選択肢の訳 】

  1. たとえそうでも
  2. むしろ
  3. 今度だけ
  4. それゆえに

 

【解説】

空所の前文(1段落第3文)はBy the time he was 44, he was deaf and could hear hardly any sounds at all.「彼が44歳になる頃までには聴力を失い、いかなる音もほとんどまったく聞こえなくなった」で、ベートーヴェンが耳が聞こえなくなったことが述べられています。

 

続く空所を含む文(第4文)は「(  )、彼が作曲をやめることはなかった」です。空所前文「聴力を失った」ことと空所後半「作曲をやめることはなかった」が対照の内容となっていますので、2つの内容をつなぐのは、1 Even so「たとえそうでも」が正解となります。

 

この場合のsoは、前文のhe was deaf and could hear hardly any sounds at all.という内容の代用として用いられる副詞です。

 

他の選択肢に関して、2、3、4は文脈に合わないので不可。

 

even so「たとえそうでも」は、2つの事柄の対照が明らかな時に用いる副詞句です。この場合のsoは、すでに出た句や節の繰り返しを避けるために用いられています。

 

(例)

It rained, but even so I enjoyed the game.(so = It rained )

「雨が降っていたが、それでも私はその試合を楽しんだ」

 

 

 

(2)

 

正解: 2

 

  1. this new technology
  2. their sense of touch
  3. the colors of a rainbow
  4. these natural smells

 

 

【 選択肢の訳 】

  1. この新しい科学技術
  2. 彼らの触覚
  3. 虹の色
  4. これらの自然の香り

 

【解説】

空所を含む文(第2段落第6文)は「彼らは音楽を認識するために、(  )を使うことができた」ですから、「何」を使うことができたかと考えます。ヒントになるのは、その前のコンサートでの聴衆の様子を述べている第3文から第5文にあります。

 

(第3文)In order to “hear” the music, some of the audience members sat next to the musicians and placed their hands on the instruments.「音楽を『聞く』」ために、ある聴衆は演奏者の隣に座り彼らの手を楽器に置いた」

 

(第4文)By doing this, the deaf people could feel the vibrations made by the instruments as they were being played. 「こうすることで、耳の聞こえない人々は楽器が奏でられているときに起きる振動を感じることができた」

 

(第5文)Other audience members held balloons which allowed them to feel the music's vibrations in the air.「別の聴衆は、音楽による空気中の音の振動を感じることができるように風船を手に持った」

 

これらの具体例「楽器から伝わる手の振動」と「手に持った風船から伝わる空気中の音の振動」を感じ取るために使うものが「何か」と考え、2 their sense of touch「彼らの触覚」が正解となります。

 

他の選択肢に関して、1、3、4は文脈に合わないので不可。

 

 

 

(3)

 

正解: 3

 

  1. are unable to leave home
  2. have no memory
  3. face the same challenge
  4. prefer other styles

 

 

【 選択肢の訳 】

  1. 家を出ることができない
  2. 記憶がない
  3. 同じ困難に直面している
  4. 他のやり方のほうが好き

 

【解説】

空所を含む文(第3段落6文)は「ハモリは、(  )人々がその作曲家の音楽を楽しむことができるように、ベートーヴェンのアイデアを取り入れて用いたのだった」ですから、「どのような人々」でも音楽を楽しめることができるか、と考えます。

 

ベートーヴェンのアイデアとは、第4文He discovered that the instrument allowed him to feel his music through his fingers.「彼は、楽器が彼の指を通して音楽を感じることを可能にしてくれることを発見した」から、楽器に指で触れることで音楽を聞くことだと分かります。

 

耳ではなく指で音楽を聞く人々、つまり「ベートーヴェンと同じように耳の聞こえない人々」を言い換え、3 face the same challenge「同じ困難に直面している」人々、とするのが正解です。

 

他の選択肢に関して、1、2、4は文脈に合わないので不可。

 

challenge「挑戦」は「(挑戦しがいのある)難題、困難」という意味でも使われます。特にface a challenge は「難題に取り組む」です。また、動詞challenge「挑戦する」の形容詞形はchallenging「やりがいのある、骨の折れる、難しい」です。

 

 

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この記事の筆者について

本多 敏幸(ほんだ・としゆき)

PROFILE

東京都の教員として38年間勤務。現在、千代田区立九段中等教育学校、都留文科大学、文教大学で講師として教えるほか、NHKラジオ「中学生の基礎英語レベル1」の講師として活躍。ELEC同友会英語教育学会会長。学習指導要領の改訂に関わる。また、全国各地で教員向けの講演を行っている。
著書に、本多式中学英語マスターシリーズとして『反復基礎』『短文英単語』『速読長文』(以上文藝春秋)、『中学校外国語新3観点の学習評価完全ガイドブック』、『入試英語力を鍛える!授業アイデア&パワーアップワーク40』(以上明治図書)、『若手英語教師のためのよい授業をつくる30章』(教育出版)、『NHK CD BOOK 中学生になるまでに身につけたい! 小学英語 パーフェクト・レッスン』(NHK出版)など多数。

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