総合型選抜に向けて、「総合型選抜攻略シリーズ①②」では、「今を知ろう」「未来を知ろう」と題して、早稲田塾の中川敏和氏のアドバイスによる「自分史をつくること」「探究学習をすること」を紹介してきましたが、来月のシリーズ③の前に、探究学習の番外編をお届けします。
学校の探究学習系プログラムが不十分だったらどうする?
探究学習の方法として、学校の授業や大学のイベントを活用するのはとても有益です。でももう一つ、企業と連携した探究学習というものもあります。学校によっては、企業の代表者や社員が来校して講演してくれたり、高校生のアイデア企画を指導・採用してくれたり、継続して活動をみてくれるプログラムを導入していることもあります。会社経営をしている卒業生が、後輩のためにと協力してくれることもあります。
しかし、そういうプログラムを実施している高校は、実際のところそんなに多いとは言えません。さらに、企業側が主催する大学生向けのインターンシップはたくさんありますが、高校生向けのインターンシップはあまり聞いたことがありません。
自分の興味が個人的な研究ではなく、将来の働く企業という組織での業務や職種にあったら、インターンシップの募集がない状況でどうしますか? ないものは諦めますか?
「ないものはつくろう」と行動した高校生がいた!
実は「高校生向けのインターンシップが少なすぎる!」と行動を起こした高校生がいます。ある私立高校2年生のグループです。メンバーの保護者が働く企業に直談判し、自分たちで高校生向けのインターンシッププログラムを構築し、参加する高校生を集めました。
プログラムの内容は、企業の特性に合わせた企画を企業側のアドバイスを受けながら約2ヶ月間かけてチームで考え、最後にプレゼンテーションをし、その結果を競うというもの。途中の報告会はオンライン中心ですが、最初のキックオフと最後のプレゼンテーションは対面で行われました。
企画を考えて発表した参加者は大きな成長を遂げたのは言うまでもありません。しかし、ユニークなのは、最初にインターンシッププログラムを発案した高校生たちがメンターとなり、運営側に回ったことです。「ないものは自分でつくる」、そして「企業側の視点に立って運営する」。それもまた、探究活動として大きな経験になったでしょう。
運営側に回った高校生も、プログラムに参加した高校生も、どちらも自分のやりたいことを探るきっかけにもなり、社会人の働き方を体感することができました。
自分に必要なことが、たとえできない環境だったとしても、その環境を自らつくることで解決した一例です。自分たちの経験のために始めたことですが、結果的に彼らが総合型選抜を受けるならば、この体験は大きなアピール材料になることでしょう。
メンターの4人


