中高の英語教育実態調査に表れる、教育現場のもどかしさ

堤谷 孝人
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大学入試の方法も含め教育改革が進む中、特に注目されている科目の一つは英語。指導現場において英語教育の実態はどのようになっているのでしょうか。

中高の英語教育実態調査に表れる、教育現場のもどかしさ

 

教育指導の最前線に立つ英語教師はどのように考えているのでしょうか。

英会話教室を運営する株式会社イーオンによる調査結果が、英語教育の課題点を浮き彫りにしています。

 

 

あまり自信が持てない英語教師たち

 

206年8月、英会話教室を運営する株式会社イーオンが、中学・高校で英語を教えている現役教師363名へ行った「中高における英語教育実態調査2016」の結果を公表しました。

 

この調査によると、中高における英語の授業は「英語で行うことを基本とする」とされており(中学は2020年から導入予定)、この方針が「生徒にとって必要」と回答した教師は中高とも77%にのぼったものの、実際に「おおむね言語活動を行っている」と回答した教師は高校でわずか13%、中学で17%と、少数に留まりました。

 

また、「あまり言語活動を行っていない」理由は、生徒側の課題が挙げられる一方で、教師側の課題も赤裸々に公開されています。

 

現在、「あまり言語活動を行っていない」理由について

  • 現状の入試に対応するためには、日本語で指導した方が早く力を付けることができる (私立高校)
  • 生徒の実態からすると英語での授業はまだできない (私立高校)
  • 生徒の理解のレベルがそこまで達していないから (公立高校)
  • 生徒の拒否反応が多い。段階を踏むことが必要だと考える (公立高校)
  • 生徒の学力レベル的にも難しく、自分の英語にも自信がないため (私立高校)
  • 当面の大学受験という目標にそれほど必要なく時間もかかるので (公立高校)
  • やりたいがとても準備に時間が割けない (私立高校)
  • 自分の英語が正しいという自信がない (公立高校)
  • クラスルームイングリッシュを使っていると、授業の内容を進めるのに時間がかかりすぎてしまい、内容が進まない (私立高校)

イーオン|中高における英語教育実態調査2016 より

 

この調査の対象者は、イーオン主催の「英語を英語で教えるための指導力・英語力向上セミナー」参加者で、とくに教育に対して熱心な層と思われます。そんな意識の高い教師たちですら「授業は英語で行いたいが、諸々の事情で実施できない」という実態から、授業運営変更の難しさや、現場のもどかしさが見えてきます。

 

 

 

英検が打開策に?

 

8月31日に文部科学省が、2020年度から導入する「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」において、「英語」は国認定の民間英語能力試験の結果を生かす案を発表しましたが、同調査では「大学入試での英語科目の外部試験導入について」もアンケートしています。

 

これによると、導入賛成は高校で7割、中学でも8割を超える結果に。また、どのような外部試験がよいか具体的に挙げてもらう質問では、中高とも「英検」がトップとなりました。

 

“ふさわしいと思う外部試験”の理由(上位3つのみ抜粋)

英検

  • 英検では最低限の4技能をはかろうという指標があるため (公立中学)
  • 対策教材が既にたくさんの学校等で使用されているから (公立中学)
  • TOEICなどは内容がビジネス英語になってくるため、英検が適切であると思う (公立中学)
  • 学習指導要領に準拠しているから (公立高校)
  • これまでの難関大学入試の形式に一番近いと思う (公立高校)
  • 生徒にとっては身近であり、受験することに抵抗の少ない試験であるため (私立高校)
  • 費用・内容・受験会場等生徒にとっても受験しやすい環境が整っているから (公立高校)

 

TOEIC

  • コミュニケーション能力を測る指標として一般的だから (公立中学)
  • 国際的な英語力を図れるから (公立中学)
  • 大学入試のみならず、その先も長く付き合える試験だから (公立中学)
  • 4技能のバランスがとれていると思うから。実生活に密接につながっているから (公立高校)
  • 高校の英語から日常会話までの英語力をカバーしているから (私立高校)

 

TOEFL

  • 海外の大学も視野に入れることができるため (公立中学)
  • アカデミックな内容が入っているから (公立中学)
  • ビジネスではなく大学の授業向けだから (私立高校)
  • 内容的に今後英語教育が目指すものに合致していると思う (公立高校)
  • 4技能すべてが備わっていて、TOEICと並んで利用率が高いことから (私立高校)

イーオン|中高における英語教育実態調査2016 より

 

英検は、知名度が高いだけでなく、信用できる評価基準が設定されているため、現役英語教師も自らの英語力をブラッシュアップするために受験し続けています。

 

また、前回の記事で紹介した「英検IBA」のように、30人以上の生徒がワンコインと安価かつ、授業時間50分内で受験できるパッケージも揃っており、さまざまなニーズに応えやすいのが特長です。

 

過去記事: 手軽に英語能力測定!学校・塾関係者は知っておきたい「英検IBA」

 

東京オリンピックイヤーでもある2020年からは、中高共に「英語の授業は英語で行うことが基本」となります。今の時期から、将来を見据えた対応を進めていってはいかがでしょうか。

 

 

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この記事の筆者について

堤谷 孝人

PROFILE

保育・育児・教育(幼稚園から大学)が専門のフリー記者。執筆以外に、編集(ディレクション)デザイン、写真撮影、文章指導も。1児の父。取材で培ってきたノウハウを生かし育児没頭中。

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