5回にわたって外部検定利用入試についてチェックしてきましたが、いよいよ今回が最終回です。これまでお伝えしてきたメリットなどを振り返りながら、外部検定を思いっきり活用するためのポイントをまとめてみます。
英検®やTOEIC、TOEFL、TEAP、IELTSなどの英語検定をはじめ、漢検(日本漢字能力検定)や数検(実用数学技能検定)、簿記、理検(実用理科技能検定)などの成績を、大学受験に利用する「外部検定利用入試」が注目されるようになったのは、この入試方式を実施する大学がどんどん増えているから。なかでも「英語外部検定試験利用入試」を取り入れる大学の数は、国公私立大全体の6割以上(英ナビ!調べ)。その数は増加傾向です。受験生にとっては、外部検定を受けておいた方がいい。というよりメリットが大きいので受けないなんてもったいないといえるでしょう。
メリット① 受験チャンスが多い英検®
大学受験は一発勝負です。それは同じ大学の同じ学部は、基本的に1回しか受験できないからです。でも英語などの外部検定は、年に複数回実施されているものがほとんど。つまり何度でも挑戦することができるというわけです。
例えば、「英検®(従来型)」は2025年度より申込時に条件を満たせば、年に6回同じ級を受けることができます。また「英検S-CBT®」は原則、毎週実施されるので都合に合わせて受けられます。さらに2025年度4月から「英検S-CBT®」は4月~7月、8月~11月、12月~3月の各検定期間に、同じ級を最大3回まで受験できます。つまり1検定回の中で、英検®(従来型)とあわせると最大5回まで同じ級を受験可能で、年間では15回受験することができます。回数を重ね、点数の低かった弱点を克服していくうちに目標としている級やスコアに達することができます。早いうちから何度もチャレンジして、大学受験を有利に進めましょう。
メリット② 他の科目に集中して、難易度の高い大学を目指せる
英語外部検定利用入試の場合、大学によっては、級やスコアに応じて「試験免除」や「満点換算」、「得点換算」、「加点」といったアドバンテージを設けていいます。つまり試験免除や満点換算ならば、他の受験科目を集中的に勉強することが可能になるわけです。もちろん得点換算や加点でも、英語対策にかかる負担は大きく減ることでしょう。高校1、2年生のうちから英語外部検定を受けておけば、ライバルよりも早く受験対策に取り組んでいると言えるかもしれません。
さらに早いうちから外検英語外部検定の勉強を始めるということは、共通テストや一般入試の対策につながるはず。早いタイミングから対策ができれば、より難易度の高い大学への合格も夢ではないかもしれません。
メリット③ 当落線上で優先されることも
検定試験の級やスコアは、大学受験で出願時の資格要件となることがあります。これは、級やスコアが大学設定の基準以上でないと出願できないというもの。つまりいくら試験を受けたくても出願さえできないということです。とくに学校推薦型選抜や総合型選抜では、この出願資格を設けている場合が多いので大きなメリットとなるでしょう。
また、「判定優遇」や「合否参考」は、出願書類の評価や合否判定の際に参考にされるという仕組み。大学入試時に当落線上に複数の受験生がいた場合、外部検定の級やスコアを持っていれば優先されるわけです。このほか、特待生の資格取得や内申点に加算されるというメリットや授業料の一部を免除してくれる大学もあります。
メリット④ 将来もずっと使える。でも有効期限に注意!
外部検定利用入試は多くの大学で採用されているので、外部検定の級やスコアを取得しておけば、志望校だけではなく、複数の大学でも使うことができます。さらに、例えば、英検®は一度取得してしまえば一生有効な資格なので、大学入試だけでなく、将来の海外留学や就職、転職の際にも英語力の証明として活用できます。
ただし、大学入試で使う場合、大学によっては、例えば、「出願の約2年前に受験したもの」など、有効期限を設けている場合があります。事前に大学サイトや募集要項でしっかり確認して、適切なタイミングで英検®を受験する計画を立てることが大切です。
2025年度から始まった準2級プラスに注目!
英検®は、2025年度から準2級と2級の間に新たな級として「準2級プラス」が導入されました。準2級までは順調に合格しても、2級合格はかなりハードルが高いと言われています。そこで今回の準2級プラスの導入で、高いハードルを乗り越えるためのステップとして活用してみるのもいいかもしれません。
この準2級プラスは、東京都立大学では、2026年度以降の一般選抜などの外部英語検定試験利用で含めることになりました。大学によっては英語外部検定利用入試で採用スコアなどの変更も予想されますので、最新の入試要項などをチェックするようにしてください。
最後に
外部検定についてこれまで6回にわたって解説してきました。受験生にとっては、志望校合格への近道だということが、おわかりいただけたでしょうか?
特に数ある外部検定のなかでも英検®は大学での採用率が高く、各検定期間に同じ級を最大3回まで受験でき、多くの試験会場で受けることができ、さらに検定料も安いのでおすすめです。大学入試における英検®の有効期限は2年の大学が多いので、高校1年生や2年生のうちから計画的にチャレンジして、メリットを最大限生かしながら志望校合格につなげてください。
